■ 其の三十六 第四十八話 『俺は間違いなく負けてたよ』 ■

さあいよいよ最終回イブなわけですよ。
早いもんだな一年間。 思えば斎藤を演じつづけた1年間、 同時に様々な役もこなしていたんだねえ、オダギリ。
180度違う役をあちこちでこなしつつも、 斎藤で一貫したキャラを通しつづけていたと思うと、何だか凄い。
。。。見れば見る程、謎と愛着が深まりつづける斎藤の姿が見られるのも、残りあと2話。 
うわーん、もっともっと見たいよ、斎藤。。。。とダダコネつつ、 その残り少ない姿を噛み締めつつ、第48話。


鳥羽伏見で負けても、邪魔者扱いで江戸を追い出されても、 勝沼の戦もやっぱり負けても、まだまだ新選組副長土方の気持ちは萎えちゃいませんとも。
「まだやるか。」 「当たり前よ」
歴史を振り返り見ている自分等には、そんな  「これからだ。」  なんてセリフが涙を誘ったりしちゃうわけですが、
現在進行形の彼らにとっては、まだまだこれから、どうサイコロの目が出るかも未知なわけだもの、 そんな感傷的な視線で見たくない。。よねェ。 
希望と野望に満ちて江戸を出てから紆余曲折、 最終的には踏んだりけったり坂道転げ落ちたりしつつも 、いやむしろこれからだ、と言ってしまう 『ヤンチャ』 さが逞しいっすよ。  まだまだ若いもんね。 何時の間にか突然幕府が賊軍になって、あっという間に 表裏逆になった世の中、ポジティブに考えれば、 また何が起こっても不思議じゃない、自分達の望む世界にひっくり返る可能性だって なきにしも、、、なはず。
とか近藤とこれからの野望を誓っていたかと思ったら次の瞬間には 女の子に色目使っているんですけど、土方君?
京では殆どオンナっけ無かったのに、どうでしょう、この 江戸に戻ってからの水を得た魚っぷり。
それだけ京では本当に忙しく濃厚な時間を過ごしていたのでございましょう。。
。。。それか、京女は土方の趣味に合わなかったのかも。。。 やっぱ女は江戸女に限る。。。てか?

さて、斎藤さん。
先週は最後の最後の5分に斎藤の見所が凝縮されていたのでありますが、 今回はまだタイトル前に早々の登場。
勝沼の戦で左之助と永倉が去ってしまった新選組、 それでなくても徐々に人数が寂しくなっていた昨今でしたのに、 キャラ濃い二人がいなくなって、人数だけでなく雰囲気も寂しくなってますよ。 そんなに広くもなさそうな部屋も、寒々しく感じるよ。。。 こんだけ主要メンバーの人数が減ったとなると、会議欠席常連幽霊隊長だった斎藤も、 先週あんな熱い想いをぶちまけた身でもございますし、 ちょん、と土方の横に座っております。 ヨシヨシでございます。
書状を読む近藤局長を囲むのは、 そんな斎藤を入れても、土方、尾形、島田、のたった4人。。。ホント寂しいなあ。
「江戸城総攻めは取りやめになった。」
「やつらはもう攻めて来ないのですか」
「最後に勝先生が談判したそうだ。 上様の命をお救いするかわりに 江戸城をヤツラに明け渡した。」
近藤の話を眉間に皺の渋ーい表情で神妙に聞く斎藤。
「戦にはならないのですか。」
ほっとした表情の島田だけど、
「勝先生は我等に、早々にここを立ち去って欲しいそうだ。  江戸近辺に軍勢がいるとまずいらしい。」
と土方。
「解散。。。?」
そんな言葉が口から洩れ、自然と島田と尾形の顔は、、ある方向へ。
二人の視線を結び合わせた到達点に、斎藤。
同時に頂いた視線に気付き、顔を上げる斎藤の不安げな上目使い気味な目と、 困り気味な眉が可愛い。。。とかまあファンは無責任にキュンキュンしてみたりするわけですが。 当の斎藤にとっては、短くも長く感じる災難?!の始まりでございます。 
まだこの時は恐らく斎藤も、同じ隊士として、お互い不安な気持ちだった為に 目があった、そう一瞬思いたかったでありましょうが、 そんな斎藤がふ、と更に今度は横から何かを感じたか、横の土方の方に目をやると
えっ? 土方さんも見てるーーーーーっ!?
「解散はしねえ。」
その一言は何故かじっと斎藤を見つめて、言い聞かせるように。 そして やっと全体に向かって
「方々から隊士をかき集めて、ようやく形になってきたばかりだ。  俺たちはここで、もう一度新選組を旗揚げする。」
。。。旗揚げする。。。と言いながらゆっくりと再び横の斎藤に向けられて行く、 土方の顔。
と、同時に、局長、尾形、島田の首も、まるでその一言に反応して動く カラクリ人形の如く、ゆっくり当たり前の様に、某ワンコの方向へ大集中!。。。
。。。。そしてひたすら、見つめつづける一同。
誰もがダレカサンの熱い言葉を期待するように。。
4つの頭、8つの瞳を一身に集めた今や中心人物状態の斎藤、 おそるおそる横の土方の方をこっそり確認した後、 更に一同をちらと見る。。
。。。。み、みんなすげえ見てるよ、斎藤さん(笑)


「。。。どうして皆いちいち俺を見る。。。」
明らかに今までと違う一同の反応に戸惑い、口の中でモゴモゴ居心地悪そうに呟く斎藤、 そのつぶやきッぷりが非常におかしい(笑)。  がゴメン、本人至ってマジメでありますが、マジメだからこそオカシイのさね。
今までは斎藤って会議にいなくても誰も気にしないし、 出ていても割と突拍子もない贈り物でもしない限り(笑)、 何をしてても放置、ご自由に、 今まではそんな放って置かれてもオッケーな位置だった斎藤、 それが彼にとっても居心地が悪くない楽な壱だったのでしょうが、 先週のアレ。 もうね、 旗を持ってあんな熱血雄叫びしてしまった今、アナタはもはや、 熱き 『誠』 の魂の代表者ですよ。
「そりゃあだって。。。」
もう言いたくてしょうがなくてウズウズしている島田より先にあの局長が
「あの勝沼で聞いた斎藤君の想いは胸に突き刺さった。」
なーんて、目を潤ませて言っちゃうわけですよ。  あれは場の勢いってもんがありましたが、今こんな冷静な場で、 マトモに顔みて言われちゃったら、そりゃあ斎藤でなくたって 恐縮しまくり照れまくり穴があったら入りまくりですわな。
「。。。やめてください。。」
思わず目が泳ぎ、引きつる顔を伏せつつやっと口に出した言葉、 イヤ本当に恥かしそうで、しかしこの小さい空気が洩れるような、 呟き声が中々イイっていうか、こう、、ちょっとも少しからかいたくなりませんか? なりますよね、なりますとも。  もうほんっと、その話は勘弁ッ、、、な顔しちゃってますが、 そんな斎藤の気持ちに気付くはずもない朴訥で感動屋の島田、 その時の斎藤を思い出し、尊敬混じったキラキラした眼差しで 語りたがっちゃうもんだから、話は更に盛り上がってしまいますよ。
「俺、この間の斎藤さんの言葉、、泣きそうになりました。。」

そしてその名場面が再び登場!
雨の中旗を掲げて、「きょくちょー!」 ですよ、 「俺がいる限り、新選組は終らないーっ」 ドドーン! ぴかぴかーっ!!  雷鳴と雷光がその斎藤の叫びを演出しちゃいますよ、 いや、何度見てもいい顔してますよ、 熱血青年の顔ですもん、 いやあ、あれは感動したよ、斎藤くん、とテレビの前からも追い討ち掛けてみたくもなりますて。

しかもその場にいなかった土方まで
「俺もこの目で見たかったなぁ」
と、この斎藤ワッショイ祭に乗じて、ニヤニヤ、いや、しみじみ熱い視線を投げかけちゃってますよ。
もう全員からいじられまくり。。。!
ここまでいじられキャラだったとは斎藤!?
しかも折角の先週の勇姿がいじりネタになっちゃう斎藤というキャラ。 
だって弄り甲斐がありそうだもんなあ。 反応素直で面白すぎ(笑) 
気の毒ながらも自分が撒いたタネですからな、斎藤。 
もちろんその行動と言葉には嘘偽りがないだけに、 表向きクールな一匹狼的生き方をして来た斎藤にとっては、
「いきおい」でとってしまった自分の行動の思わぬ反応にどうしていいか分からない状態、 針の筵に座らされてるような気分でございましょう。。  が、局長や土方には言い返せないし、素直でマジメな島田にあたるのも気が引けるし、と、 ただただ戸惑い、早くこの時間が去ってくれる事を祈るしかない斎藤。  が、そこでいい獲物が(笑)
「普段は無口な斎藤さんが。。。あんなに熱い男だとは。。。」
そういう語り、いりませんから!
耐え難きを耐え、、ってそんなに時間はたってないけど もうそりゃ斎藤にとってはエライ長く感じだであろう時間、 その斎藤のぴりぴりに鈍感だった尾形がその犠牲者に。
はじけたように立ち上がり、いきなりガシッと尾形の襟元掴んで引きずり上げ、
「あの日の話はするな!!!!!」
と今にも噛み付かんばかりに歯剥き出し威嚇する、野良の気性復活斎藤ワンコ。
「。。。ひぁい。。。」
思い切り情けない声の尾形(笑)、 主人には消して牙向かない従順なワンコ斎藤だけども、野良の気性もまだまだ健在、 そんな斎藤の本質を知らずに調子に乗っちゃった尾形には誠にお気の毒。

そんな尾形。 最初の頃なんてずっと「で、この人は誰?」てな感じに 何時の間にかいて、何時の間にか主要キャラクタの仲間入りしていたような 無個性さだったけど、先日は死ぬ間際の山崎に毛布をとってくれと頼んでみたり、 ココのところ空気読めないキャラクタを発揮しております(笑) そんなちょっと有難くない個性ですら、 もう皆可愛い新選組!なわけではございます。
。。。まあでもおかげで、斎藤には居たたまれなかった熱血斎藤祭状態をとりあえず終わりに出来たワケで、 そう思うとその無神経さも捨てたもんじゃない、、、と無理矢理誉めてみたり。

さて尾形にブチキレた斎藤、 そうした行動すら何気に注目の的になってしまっている事に気付き、尾形を投げ捨て、バツが悪そうに、 一言、
「。。。続きを。。」
そんなトラブルも、いつもの事だというように、 何気に気にせずそのまま、
「会津に行こうと思う。」
と、普通〜〜に話を続ける近藤さんの懐の深さというか、 斎藤トラブルの慣れ具合が、、イイねえ(笑)。
にしても。 こうした斎藤の行動って、ほんっとに、皆、 気にしちゃいない黙認状態ですなあ。 
すっかり変わり者異質なキャラが認められちゃってる斎藤、 なんだかマスコット的存在、、だと言ってしまおう、あえて。
さて会津に行く前に、新選組の名に恥じない部隊を作る為に調練をせねば、、 て事で、島田が見つけた調練に良い場所を地図で確認する一同。  そこは今回のタイトルにもなっている、流山。  近藤最後の陣を張った、その場所の名にちょいと切なくなりつつ、 地図を見る為に身を寄せつつも、横にいる斎藤にまだビクビク警戒しちゃってる 尾形の細かすぎる演技にちょっとウケてみたり。。
斎藤の扱いは人によってはかなり難しいのでありますよ、尾形君、 以後気をつける様に。(笑)

しかし先週、意外な斎藤の熱い部分をあれ程感動的に見せてくれたっつのに、
今週は冒頭から早速それを斎藤イジリのネタにしちゃうとは三谷さん。。。

  そこまで三谷さんにとってオダギリ斎藤はいじりがいのあるキャラでございましたか。 
いやもう美味しすぎますよ。 残り2週で最後の最後まで。
テレビガイド系雑誌で 『尾形の襟首掴んで睨みつける斎藤』 の写真を見た時は、 おおこれまた熱い斎藤の場面か、一体どんな?と期待しておりましたが、 そうですか、こんなシーンでしたか(笑)、いや熱かったけどサ。。。
いやでも、あるよね、こういうの。 
誰でも経験がありましょう、例えば酔った勢いで。 例えばその場の雰囲気で。  思わず熱い自分が顔を出し、その場はウットリ雰囲気に酔うものの、 後になって思い出すと 「うわああああああああああああああああああ」。
皆の脳裏からその記憶を抹殺してしまいたいような、 そんな甘酸っぱい思い出が。。。。
うわああああああ(只今自分のワカゲノイタリを思い出し中。。。)
 *恐らくこの斎藤の 「アノ日」 の出来事は、今後も新選組の語り草になる、に1000「局長!」
 *更にその場にいなかった左之助、永倉にまで後々島田が語ってしまう、に2000「局長!」
 *もう斎藤さん、この晩は布団に入って再び自分の言葉と行動を反芻し、 「うわあああああああ」
  と頭かきむしりつつ布団をかぶって寝るに寝られない、 に、3000「局長!」
。。。とかからかい続けておりますが、でも確かにあの行動は、皆にワッショイされると恥かしいだろうけど、 あの時の新選組、局長にとっては物凄い力になったのは確か。
何だかんだ言っても、襟首つかまれようと、やはりあれは名セリフ、名場面。
「胸に突き刺さる」「泣きそうな」場面でありました、と声を大にして言わせてもらうさ、 斎藤さん。

って、、、ここからやっとタイトルだったりして。。。まだウタノマエ。 私も斎藤場面を弄りすぎかナァ(汗)

さあ、残り2週のみのテーマをしっかり見届け様じゃありませんか。
ラーイラーラーララララー。。。。

■ 慶応四年(1968) 4月3日 ■

先の勝沼で近藤等と袂を分かつ事になった左之助と永倉、 会津に行く、と言いながら江戸にまだいたんですな。
「江戸に戻ってくるなら近藤さん達と一緒にいたらよかったんだよ」
そんな事をぼやいてしまうあたり、本気で近藤達に嫌気がさしたわけじゃなかったと思いたいナァ。
片や近藤達は結局 「会津に行く」 って言ってるしね。。。
何だよなんだよ!! だったらもう一度一緒にやり直そうよ、
って言いたいところだけど、 まあ、覆水盆に帰らず。。。なんかなあ。
「新選組のあるべき姿を近藤さんに見せてやる」
と、自分達で改めて隊士を集め、永倉は永倉なりに「新・新選組」を作る気なんですな。  新選組というモノに対する愛情は、分かれた後でもそれぞれにちゃんと残ってるのが 嬉しいけどね。
。。。とそこで宇八郎登場したりして、 すわ昼ドラばりの三角関係勃発、と思いきや、そうだった、もうおそのちゃんは亡くなっちゃったんだっけ。。。
宇八郎が結成した隊に永倉は誘われ、 左之助は京に戻る事に決め、この二人も別れる事に。
「色々あったけど、、、楽しかったな。」
顔を合わせて笑う二人。
どうせなら新選組の皆と最後に交わして欲しかった言葉なんだけどな。。。
徐々にバラバラになっていく見慣れて愛着湧いた面々、、やっぱり淋しい、淋しすぎるよう。。。
(所でで斎藤のだけかと思ってたら、左之助の笠も真っ黒でしたな。 個性的なキャラ向けカラー。)

さて 『真・新選組』 と言いますか、新しく新選組を立ち上げる為に、 武器をかき集め準備に奔走する近藤達。
が、せっかくこれから、と言う時に、薩長軍がどうも近くにいるらしい、との悪い情報。  もし新選組だとバレたら何もかもオシャカ。 何があっても、とにかくしらを突き通す、 それしか今は生き残る術がないという肩身の狭い立場が辛いですなぁ。。。  が、いつか起死回生の時が来る、その時を信じるしかないわけで。

が、新政府軍陣地では既にアレは近藤では、との話が上がっております。  有名なのも、良し悪しですなぁ。。。

一方、植木屋平五郎宅で療養中の総司。
すっかり顔色も悪くなって声も張りがなくなって、寂しげに散って行く桜を 眺める総司の姿に、ああ、どんどん生の力がなくなっていくよ、影が薄くなっていくよ、 流石藤原くんだなあ、、、とシンミリと見つめていたっつのに、 ボンヤリと手に登って来たアリンコを眺め、つまんで丸めてポイ、と捨てた総司と、それを目撃して 激しく突っ込み批判するお考のやりとり、 その余りにテンポの良い息の合い具合に あんたたち夫婦漫才かよ?! とシミジミ気分もふっとび突っ込み。
なんだなんだぁ? 思ったより元気じゃん、総司。 死ぬ死ぬ思ってるのは案外気のせいじゃ、、とまで 思ってしまうほどでございます。  や、多分お考ちゃんの元気パワーのお陰だとは思うけどネ。
そんな二人の仲むつまじい掛け合いは中々小気味良くて本当可愛いんだけども、
「ありは生き物じゃないよ」
って言い切る総司に、
「アホや、アリかて人かて命の重さに変わりはないんよ!」
と嗜めるお考。
自分の死を目前にして色々悟ったようで、まだまだ足元の命にまで 思いをめぐらすまで至っていなかった総司なんだなあ。 そんなお考の言葉の意味に、命の重さに、死ぬまでに総司は気付く事があるんだろか。

そこにたずねてきた旅装束の斎藤さん。
植木屋平五郎さんに言われて斎藤の姿を確認すると、見る見る変わる沖田の表情。
「斎藤さん、、、」
前に斎藤にむかって 『憧れ宣言』 をしちゃったからか、 病に臥せって寂しさも増していたからか、 素直に斎藤ウェルカムな気持ちがまんま出た素直な表情に、 何時の間にか縮まった斎藤と沖田の距離を感じたりしてね。

縁側に並んで座って散って行く桜の花びらを眺める二人。
こうして横に並んでいると、しゅんと病気で小さくなった総司と斎藤の 体格の違いがはっきり。 まあオダギリ斎藤は肩幅がもともとあるけども、 特に着流しにテロンと一枚羽織っただけの衣装で手を前に揃えて座るもんだから、 総司の方がかなり斎藤よりもひとまわり、小さく頼りなく見えるねえ。。。
様々な苦労した人生送ってきたり、まあ若干怪我なんかはしてはいるものの、 少なくとも斎藤は健康だよなあ。。。 健康は何よりの財産でございます。 しみじみ。
「来てくれて嬉しいです。」
と素直に言ってくれた沖田の言葉にまんざらでもない顔してるくせに
「いつ頃死ぬんだ」
。。って、コラコラそれが見舞いの言葉でございますか斎藤さん。
全ての誤魔化しフォロー的装飾語等を省いた斎藤流お見舞い言葉、、、
いや省きすぎていうか飛びすぎ。
尤も、下手に遠回しに気を使おうとすると、結局フォローし通せず泥沼になる可能性が大かと思われる 斎藤さん、 むしろこんな風に冗談めかして正面からズバっといくのが、斎藤らしくていいのです。
。。。。冗談のつもりもなさそうですが。 素で言ってそうですが。
んが、死ぬ死ぬ言う人には、こんな挨拶が案外いいのかもしれませんな。
って言っても突然言われた総司はそりゃ面くらいますさ。
かなりの間を置いて、、、
「夏の終わりぐらいかな。。。」
突っ込まず、ここは素直に答えてみたりする総司。
何だか斎藤の前だと総司はいつも素直な気がするなあ。  突っ込みして欲しかったんじゃ、、とか思いつつも、 ストレートな返事が返ってきて、妙な間がいちいち開きつつも、それはそれで、まあ まったりとそのまま会話が続くという、、なんだかこの若者二人の会話、 かみ合ってるんだかいないんだか。  けどもそんな”間”が、以前の様にお互い気を使うように居心地が悪いわけでもなく、 割と自然に、今はそんなおかしな空気も楽しんじゃっているように見えるんだな。
「お前はいいな。」
「何がですか。」
夏の終わりには死ぬかも、そう聞いて今度は「いいな」。。斎藤さん、言葉の脈絡てもんが。。?
そんな斎藤的会話に翻弄されつつ、いや慌てずに耳を傾けましょう。
「お前は戦に出た事がないからわからないだろうが、 もう刀の時代じゃないんだ。。」
「土方さんも言ってました。」
「人を斬るしか能のない奴が、これからどうやって生きて行く。
今は薩長相手に戦っているけど、 もし生き延びて。。。」

や、大丈夫、以外にそれなりに器用に世を渡っていきますから。
ゆくゆくは女子大の事務員なんて仕事もこなしちゃいますから。。。

なんて、歴史の先にいる私たちはニヤリと思うセリフではありますが。
先週はあんなに強気な発言をした斎藤だけど、 本音はやっぱり不安で一杯なんだよね。。。 
歳が近い総司だから、近い何かを感じている総司にだから いえる、斎藤の珍しいボヤキ。。。
その後姿がとても寂しそうで切ないよう。
「近頃思うんです。 この200年ずっと戦がなくて、いよいよ世の中が不穏になってきたら、 刀の時代は終っちゃった。。。  そのホンの短い間に私はこの世に生まれて、近藤さん達に出会って、 京で新選組として働けた。 
なんて自分は運がいいんだろうって。」
黙って聞いている斎藤にもきっと染み入ったろう、その 総司の言葉に継いで更に斎藤、
「それを言うならもっと俺はツイている。  もしも近藤さんに出会わず、薩長の側に付いてたら、
京の町でお前と戦っていたかもしれない。」

そっかー、そうかもしれないなァ、 なんて遠くを見つめて微笑みながらちょっと想像してみているような総司に
「俺は間違いなく負けてたよ。」
斎藤に尊敬してます、と言った沖田の告白に答えるような斎藤の言葉。
お互いがお互いに憧れつつも近づけそうで近づけなかった関係だったけど、 やっと最後の最後に鏡の表裏だった二人が同じ場所で同じ想いで存在することが 出来たような、気がするなあ。
と同時に、言葉が不器用な斎藤に似合わないような精一杯のお世辞というか、 励ましも含んでいるようにも感じつつ、 そんならしからぬセリフに意外そうな顔をする総司と目を合わせた時の、 斎藤のちょっと照れの入った様な微笑みに、ああ、総司にはこんな肩に力の入らない 自然な顔を見せられるようになったんだなあ、、、と、今更ながら深まった 二人の友情に感慨深くなってみたり。
いや、本当にいい笑顔なんだもん。。。
総司の肩にポン、と手を置き、立ち上がり
「涼しくなる前に又来る。」
さらりとそんなセリフを言う斎藤の総司を見る目がまた優しいんだなぁ。
夏の終わりに死ぬと言う総司に、その後に来るから生きてろヨ、 そんなチョット分かりにくい(笑)言葉で励ましつつ去っていく斎藤さん。
けど死を予感している人にとっては、 「死ぬなよ」 なんて他人だから言える言葉より、 こうやって少しづつでもお迎えの時期を延長してくれるリアルな言葉のが きっと心強いんじゃないかなぁ。。
そして斎藤の後姿を名残惜しそうに立ち上がって見送る総司の表情がまた泣かせるのね。
この二人が再び会う事は、、たぶん、ないんだろうなぁ。。。。


ところで、そういえば、すっかりアレを彫る姿も見なくなった、斎藤。
ここはやはり沖田クンに、友情の証にあげて欲しかったなあ。。。。
、、、や、せっかくいい雰囲気だったのが微妙になるのは承知の上で。  ええ、魔よけですから(笑)

と、今週の斎藤の出番はここまでなんですなぁ。 後の様々な盛り上がりに、その姿がございません、がくー。
恐らく総司のいた場所から懸命に帰る途中であったのでございましょう。。。
しかしながらこの後に怒涛の盛り上がり連発なんですがなあ。。。。

ところで忘れちゃいけない、その後半を盛り上げるのが、有馬役で登場の古田新太さん。  舞台役者で固めてきた 『新選組!』 の総締めと言うことらしいですが、  古田さん、あのフサフサ余りに似合いすぎ。   もうそのままで、地毛かと思うくらい!(いやそれは言い過ぎ)  舞台といえば、オダギリが演ったSLAPSTICKSで この古田さんと、もうひとりの赤フサフサ役(笑)の山崎さんとも共演したっけねえ。。。 
新選組で斎藤との共演シーンがないのが、ちょっと残念だったけどネ。

◇盛り上がりその1.長回し、一発撮り、有馬vs大久保、もとい近藤。
すっかり薩長兵に囲まれてしまった近藤達。 
何とか最後まで、 『旗本の大久保大和』 で押し通し、 ここはとにかく誤魔化そうとするものの、 今すぐ調練場に案内しろと言われて焦る土方達。  こんなことになってるとは、調練場にいる島田達には伝わってない。。。  もしポロリと新選組だとバレる事でもあれば、全てがお終い。
イチかバチかで有馬を調練場へ連れて行った近藤、いきなり  「局長!」 と呼ばれて一瞬ひやりとしつつも、 連れて来た黒モサモサ有馬様が薩摩兵であり、 自分らが官軍に逆らうものであるか否かを検分中であること を、とりあえず有馬の先を打って告げ、何とか事隊士に勘付かせたところまではお見事。
が、呼ばれもしないのに登場する捨が事態をかき回してヒヤヒヤでございます。
もうねえ、本当は事情がわかってる癖にこういう事するから嫌がられるんだよ、捨。
尾形から皆聞いたよ、ハラハラした?ハラハラした?って捨。
せっかく仲間にしてくれた身内をぎょふんと言わせてどうするよ、捨。
アンタ下手したらマジ土方に殺されるよ。
あの土方が構えた銃は、もしかしたらアンタが何かを話そうとした時に アンタを撃つつもりだったかもしれないっすよ?  顎捕まれるくらいじゃすまないよ、んとに。

と、余計なヒヤヒヤの後、 『誠 』の旗を 発見されて、今度こそ本気でまずいヒヤヒヤでございます。。
顔は知られてなくても、毎回誇らしげに掲げていた 『誠』 の深紅の旗は有名だったんだろうなぁ。
そんなわかり易いもの、何故そこに、、と思うものの、 あの旗にはそりゃもう、先週の斎藤を始め、色んな思いが込められてるからねえ、 近くに置いておきたかったんだろうね。
誠の旗を発見し、これが実は新選組であり、大久保と名乗る男は近藤だと勘付いた有馬だけど、 見逃そうとしてくれるのね。 武士の情けってやつでありましょうか。
そこで近藤を近藤と知りつつも、新選組の近藤をどう思うか、と問う有馬と、 その問いに堂々と答えていく近藤、この二人の問答が実に迫力でありました。
「近藤は天下の大罪人でございます。 されど盗人にも、3分の理があると申します。。」
「近藤の言い分とは。」
「薩長のことを許す事が出来なかったのでしょう。。。」
以下、長回し一発撮り、まるで舞台のような息を呑む二人の掛け合い。
しかし香取君、終盤に来てこんな長セリフの掛け合い一発撮り、よくこなしたもんです。 いや感心。
その近藤の言葉に、息を呑みつつ熱い眼差しで見守る新選組の一同。
あの捨すらも、その言葉を心に刻み込んでいますよ。
「戦では負けましたが勝敗は時の運。 悔いはない。  今でもハッキリいえます。 正義は我等にある。  これから何度生まれ変わっても戦い続けます。  。。。。そう近藤は思って居るのではないでしょうか。」
表向きは大久保の言葉だけども、近藤の生の言葉と気持ちを直接受け止めた有馬、 その武士たる想いにうたれ、
「もし近藤がほんのこてそげな男じゃれば、敵ながら天晴れち言わんにゃなりまんな。
一度膝を突き合わせて酒でも飲みたか」
立場が違っても、武士としての気持ちは同じ。  そこで小さな友情すら生まれたかに見えたのだけども、 今は何をしても、運気が悪いほうに転がってしまう、そんな新選組。
もう少しでこの場を乗り切れそうだったってのに、 近藤の顔を京で見かけた、という者が現れ、 本陣の取り調べを受けざるを得なくなってしまうんですなぁ。。。

◇盛り上がりその2.近藤土方、今生の別れ。
取り調べを拒否すれば近藤勇だと認めたことになるし 行けば行ったでもう戻って来れないかもしれない。
ならばココで近藤と戦うと行って聞かない隊士達に、 既に自分を近藤だと見抜いていつつも任せろといってくれた有馬を信じるという近藤、 最後まで、自分が認めた相手は絶対に信用するんだよねえ。  あんまり人を信じすぎても傷つくって、源さんがあんだけ言ってたのになあ。
行く、行くな、のすったもんだの言い合いの挙句、 終いにはならば腹を斬るまでだ、とちょっとヤケ気味な?近藤を激しく嗜める土方。
「あんたは何にも分かっちゃいねえ。  アンタが死んで俺達が生き残ってそれでどうなる。
俺達は近藤勇に付いてきたんだ。  残った俺達のため、死んでいったあいつ等のためにも、
近藤勇には生きてもらわねえとならねえんだよ。」
お前達もそうだろ! と土方に言われ、膝を尽き頭を下げる隊士一同。
で、そんな一同の姿を見せ付けられて、最後の最後に、やっぱりね、近藤さんですから。。。
「俺はどうしたらいいんだ。。。」
何だか懐かしいほどに何度も聞いたこの言葉!
あんだけさっき饒舌に有馬とやりあった近藤なのになあ。。。
自分の気持ちを真直ぐに相手にぶつけることは得意でも、 自分が何か動かねばならない時には、どうしていいかわかんなくなっちゃうんだろうか、近藤さん。

兎に角嘘をつきとおせ。
大久保大和として出て行き、大久保大和として帰って来い。
もう今はそれしかないわけで。
「生きろ。どんな手を使っても。」
って、言ったのになぁ。。。近藤さん。

周平に最後の言葉を告げて、部屋から出ると、柱にもたれかかって立つ土方。
「別れの言葉なんていらねえぜ」
って古いラブソングの歌詞のようなセリフですが、そんなキザな立ち方も、言葉も、 こんな場面では素直に胸を締め付けるばかりでございますよ。
ここでの近藤の言葉。。
「お前がいたから俺は何とか踏ん張れた。」
これは近藤というより、香取くんの言葉とも思えますなぁ。。。 ほんとうに大変そうだったもんさ、香取君。。
逆に自分が近藤に重荷を与えてしまったんじゃないかと気に病む土方に
「そんなわけないだろう。 考えても見ろ。 腕だけを便りに京に上り、
俺達の手で薩長に一泡ふかせてやったんだ。 俺は満足だ。」
。。いや、ここで満足しちゃまだ駄目だよ、近藤さん。。。
この時に既に自分の腹はくくってたんだろうなあ。
ただ、最後に土方の為、隊士達の為にもうひと踏ん張りしようとしてくれたのだろうけどもネ。

「お前まだあれ持ってるか」
「あたりまえだろ」
と、ここでついにあの懐かしいコルクが再登場。  いつか出るとは思いつつ、こうして見ると本当に懐かしさと相まって涙ですよ。。  二人とも肌身はなさず持ちつづけていたお守りみたいなもんだよねえ。
「全てはこれからだったな。」
回想する近藤に、
「そしてまだまだ、終ったわけじゃねえ。」
まだまだ未来を信じている土方。
「近藤勇、一世一代の大芝居だ。」
またきっと二人がここで再会できることを祈りつつ、 しっかと抱き合う土方と近藤。
これが二人の今生の別れかと思うと、涙でございますよ。。
一世一代の大芝居って言ったのに、、、近藤さんよぅ。(涙)

◇盛り上がりその3.御陵衛士生き残りの加納君と運命の再会。
近藤ではないかとの執拗な問い詰めにも気迫で大久保大和だと言い張り、 もう少しで押し通し誤魔化し通せる、、所だったのに。  運も尽きちゃったんだろうなあ、、、 大久保大和と言い張る近藤の前に現れたのは、 元御陵衛士の加納。
万事休す。。。。。
とはいえ。 あれほど 局長がいなくなったら皆どうしていいか分からなくなる、 自分等隊士のためにも、嘘をつきとおしてくれ、と言われて 一世一代の大芝居を打つと約束したのに近藤さん。 
加納が彼が近藤勇だと言う前に、静かに微笑み、
「加納君。 お久しぶりです。」
と、何故自ら名乗ってしまったんだろうなあ、としばし色々考えてしまったわけでございます。
土方にはあれだけアンタがいないと皆どうしていいか分からなくなる、 なんて訴えられたけど、近藤は自分がいなくなっても、もう大丈夫だと 思ってたのかも。
さらに目の前に現れた加納の顔を見て、意とせず暗殺する形になってしまった 甲子太郎の事を思い出したのかもしれないなあ。  近藤本人は、最後に甲子太郎と理解しあえたのに、 先走った新選組の若い奴が甲子太郎の命を奪い、結果暗殺した事になってしまったんだよね。
加納らには、自分が暗殺を指図したと思われただろうに、、 その後も恨みを募らせていたはずの加納が、 自分の顔を見ても直ぐに近藤だと言わずにいた事、 もしかしたら元新選組、て事で、ここで彼を近藤だと証言しないと、 加納自身の立場も悪くなったかもしれない、のに 近藤を見つめ、しばし口を閉ざして迷いを見せた加納の気持ちを 感じ取って、、近藤さんは、それに応えちゃったのかもなあ。。。
人間一人一人の気持ちを何より大事に思う近藤さんだからこその、 この結末だったのかもしれない、、と思うと、皮肉だなぁ、、なんて切なくなるんだけども。


そういえば、音楽担当の服部氏が、先日のスタパで紹介していた 女性スキャットの新選組テーマメロディ、 のこり2話のどこかに使われます、と言っていたけども、ココだったのだね。  近藤最期の場面だと想っていたけども、この場面も重要なシーンだものなあ。  覚悟を決めて、全てを受け入れるこの場面に、悲しくもぴったりでございました。。


と、後半ついに総司の所から帰り着けずに出番がなかった斎藤さん、 最後の最後に近藤さんを見送れないってのはちょっと悲しいんですが、 来週に期待しておこう、、、そんな来週は最終回。。。
いよいよで、ございます。  なんかもう、言葉もございません。。
とりあえず心して見届けねばです。。。
                                      二〇〇四年 十二月五日放送



■ 其の三十七 最終回 『新選組三番組長斎藤一』 ■

ついに最終回ですよ。  しかも15分延長の一時間放送ですよ。
しかも三谷さん、ナンデスカ、3分おきにクライマックスって。。。
普通に計算しても60分スペシャルだと20回ものクライマックスですよ三谷さん。
笑ったり切なくなったり神妙になってみたりクタクタだよ
んでもって泣いて泣いてでグダグダだよ。
ついでにレポは最後までダラダラですとも。
なぜならどの場面も一年間を締めくくる大事な場面。。  いちいち全部拾っていたらこんな事になりもした。 
もう整理する気力もござらんので、どうぞお手前方各々で拾い読みしてくだんせ。 
ってもう言葉もぐだぐだだなオイ。

◇らーいらーらーららららー!!
新政府軍本陣にて取り調べを受け、甲州勝沼の戦をそそのかしたのは勝なのに その責任も一身に背負って庇おうとする近藤、一寸の迷いもなくギッと 睨みつける姿に最初から胸が締め付けられつつ、 そこにタイトルでございますからなあ。。。   『愛しき友よ』 ですもん。。。  最初からもう目頭が熱く。。。。
ましてやヌッツォ先生の歌詞を聞くと、いつも胸に響く歌詞も 今日はまた格別に染み入ってくるわけで。 たまらんなあ、、、コレは。
ひとつひとつのクレジットの名前を噛み締めてみたり。  一年前のあの日は、クレジットで4番目に出たオダギリジョーの 縦書きカタカナに腰抜かしそうになったっけなあ。。。  って、いかん。 今まさにDVDを見返してるわけですが、 走り去る浅葱色の羽織の隊士の姿に、歌詞に、早くもうるうるっと。。。
駄目だ駄目だー! そんな ”泣きたいから泣ける映画をみちゃう”  昨今の泣きたい症候群じゃいけないのだー。。
最後まで見届けねばいけないのだー!!  と自分に喝入れつつ、、、散らばるティッシュの山。。。

◇「生きるちゅう事を恥と思ってはいかん!」
近藤に少しでも可能性がある限り生きるよう説得する有馬藤太。 が、 まだこの時は潔く全ての恨みを一身に背負って刑を受け入れる事が 自分に出来る最後の武士としての誇り、と言わんばかりに 有馬の差し伸べる手を拒否する近藤さん。
最後に立場は違っても、互いに武士魂を感じ、お互いを尊敬しあう関係、 そんな重要な役に、 有馬藤太と古田新太が見事に韻を踏む名前だから、、、と言う理由ではなく、 舞台役者を起用しつづけた新選組の閉めとして、 古田さんを持ってきたという三谷さん、全くもって正解。  で、古田さんの演技が素晴らしいのは言うまでもないけども、 そんなベテランさんと向かい合っている近藤香取くん、 なかなかどうして、負けない迫力を出していて、 本当にこの1年で大きく成長したなあ、としみじみ感心。

◇全員揃うのはこれで最後かも。
新選組、と言ってもすっかり少なくなったメイン隊士達、  これが全員顔を合わせる最後の軍議かもしれないっす。。 
近藤が板橋の本陣に近藤の身が移されたと知らせる島田。 ふと、 これは山崎のお仕事だったんだよなあ、と思ったり。  「よろこんで」 の一言や、生き生きと変装する山崎がこいしいぞ。。
大久保大和と名を偽り、一世一代の大芝居、最後まで嘘をつきとおし、 とにかく何としてでも生き延びる、そう土方と約束を交わしたのに、 帰ってこれなかった近藤。  それから一週間後の最終話、いや物語的にはどれくらい時間がたったのだろう、 今こうして辛さも悲しさも噛み締め我慢している一同だけども、 近藤が正体を明かし捕縛されたと聞いた時を想像すると胸が痛くなるね。。
本陣に移された、という事で、更に近藤助命への希望が薄まり、 肩を落とし口を噤む一同に、一人だけ声を上げたのが、あの捨助なんだなあ。。。
「いますぐ助けに行こうぜ?」
が、返事どころか、押し黙り、俯く一同の反応。
「。。なんだよ。。 かっちゃん、やつらに殺されちまうぞ?!」
誰しもが聞きたくない言葉を口にする天然素直な捨助。  近藤が以前肩を撃たれた時には弾かれたように飛び出しかけた土方も斎藤も 動かない、つか動けないんだよ、動くわけにはいかんのです。。
「近藤さんは俺達を助ける為に降参したんだ。」
誰よりも悔しく辛い筈の土方、自分に言い聞かせるようでもあります。
「だから?」
「我々の人数では局長の奪還は難しいでしょう。。」
あくまで冷静な理由をあげる尾形くん。
「そんな事ねえよぉ! 官軍なにするものぞ、だ!  な!! 斎藤!!
と、いきなり斎藤名指しでふりますか、捨助。  斎藤の忠犬っぷりに一目置いてくれていたのか捨助。
何気に曲がった愛情ながら、かっちゃんを追いつづけてきた捨助と、 近藤への恩を一生忘れない勢いで、ひたすら尽くしてきた斎藤、 ノリは違うけど同じ近藤への想いを感じたか捨助よ。  斎藤なら絶対に同意してくれると、助けを求めるような期待した顔が、 嬉しいんだけど、、応えられないのが悲しいす。。

あの雨の中の熱血斎藤はどうした。 そんな事もふと頭をよぎるけども、 あの時に 『誠』 の旗を持ち、 「新選組は終わらない!」 と叫んだ事で 根底に近藤への想いを燃やしつつ、 その近藤の分身とも言える新選組に尽し通す事を改めて誓った斎藤、 土方同様、勝算のない近藤奪回の為に命を投げ出し、 ここで新選組が途絶えてしまう事は避けなければならないと ワンコなりに分かっていた筈。。
それでも絶対に今すぐ飛び出していきたい気持ちは、きっと捨助と同様、いや それ以上にあったに違いないっす。  キリキリくる悔しさを押さえつける為にか、ぎっと指を噛み、 もうメチャ切なげに捨助を見た後、フと目を伏せ、小さく首を振る斎藤。。  ああもうね、なんて顔するんだろ。  上目使いもたまりませんが、指を噛む仕草なんてさ、 マジ反則。 耐える表情ってだけで色気がぶわっと溢れ出すってのに、 相乗効果でもう胸ギュウでございます。。。
ストレスを感じた動物は、自分の体を痛めつけるのでございます。  このワンコも、自分の指を噛む事で、 何とか 「助けたいけどどうする事もできない」 ストレスを 押さえつけていたのだろうなあ。

「てめえらーー!! かっちゃんを見殺しにするつもりか。  俺は一人でも助けにいくぞ。 畜生、、見損なったぜ!!」
ずっとウザイウザイと思いつづけていた”オッカケ捨助”に こんな言われてしまうなんてチョット悔しいっ。 が、今は我慢っ。。 そこにいない近藤の想いを受け取れるように成長した新選組の隊士達だけど、 捨助ってば、良くも悪くも、変わらないんだよなあ。  結局最後は捨助は単独行動に。 ううむ、斎藤以上の一匹狼だ、捨助よ。

頭から湯気も出そうな勢いで去っていく捨助を見送りつつ、 けど当然土方達だって、ただ何もしないで近藤の死を待ってるワケじゃござんせんよ。  江戸は危険と知りつつも、近藤助命嘆願に手を貸してもらうために勝に会うと言う土方。  そのお供には島田と尾関をご指名。。。で、斎藤は。
「斎藤、お前は隊士を連れて会津に向かえ。  一刻も早く容保公に局長の事をお伝えして、お力添えを頂くんだ。」
自分に与えられた使命をじっと聞き入る斎藤。 
無口な斎藤とは言え、それでも唯一必ず口にしていたはずの、”承知”も今回はございません。
ただじっと土方の言葉を受け止め、静かに頷く。 
絶望からまだかろうじて繋がっている最後の希望にすがるような、 何とも切ない目をするんだ、また。
ぶちきれて叫ぶ斎藤も、熱い魂剥き出しにする斎藤もぐっと来るけど、 実は沸騰したような熱い思いを内側に隠して、 それが思わず滲み出てしまう時の目や表情が、色っぽくて好きなんだなあ。。
(や、これは斎藤に限らず、ソコがオダギリならではの魅力の一つなんだけどネ)

と、そこでいきなりの 尾形の脱隊宣言。  脱隊は切腹なりー、なんて法度ももう無効であることを確かめ、
「ここまででしょう。 落ち着いて考えれば、新選組に再起の道はない。  私としても残念だが。 
局長がご無事であることをお祈りしています。」
尾形さんっ! 落ち着いて考えすぎだよ尾形さん。
わずかな望みでも何か動き出すことで気合も入れようかって時に  い ち ぬ け た ですか尾形さん。
未練のミの字もなくさっさと去りすぎだぞ、尾形さん。
「最後までなじめん人だった。」
そう呟く島田の言葉が空しく漂います。。。
またひとり、行ってしまった。。(源さんふうに)
先週から、妙な方向で目立っている尾形さん。  いつの間にかいて、誰なんだよアンタと思っていた、ぶっちゃけ山崎よりも存在感が 微妙だった尾形、、それでも先々週は斎藤の言葉に雨の中皆と一緒に感動してたし、 先週はそんな 『熱い斎藤をいじる会』 に参加もしていたじゃないデスカー!
はっ!?  あの時やっと素顔を見せて輪に入ってきて馴染めそうだった尾形の襟首つかんで
ダレカサンが威嚇して萎縮させちゃった
のがイカンかった?!
それとも土方のだした指示に、その場にいた主要隊士なのに名前がなかったのもイカンかった?
馴染めない人、尾形。
だがしかし。 結構画面にいたのにアンタ誰だよ!なんて突っ込んでいたキャラクタが、 実は最初から三谷さんの狙いだったとは。 しかもそれをちゃんと表現していた 飯田さん、いや、ヤラレタ〜って気分でございます。
更に爽快な裏切られ感は後半へ続く。

◇「納得いきません」の養母に涙。
ついちょっと前に立派になって帰ってきたと思っていた 息子が、弟が、旦那様が、今は逆賊の汚名を着せられて幽閉されているなんて、 近藤本人よりその近藤を好きな人たちの気持ちが本当に痛くて辛い。 
しかも私は養母上のふでさんに弱いのだよー。。。
最初はあれだけ勇に辛く当っていたふでさんが、  「あなたは私です」 と勇を認めて受け入れた時に涙、  「お勤めご苦労様です」 と凱旋帰郷した勇にかけた言葉に涙、そして今回、  「納得いきません。 勇は、天子さまをお守りする為に京で頑張っていたのではありませんか。  それが何故、逆賊の汚名を着せられるんです。  捕らえられなければいけないんですか!」
ああもう本当にどうなっちゃってるんだろうね、ふでさん、もっともです、モットモです。。
音五郎の首根っこ掴んで取り乱す母の姿にまた涙です。

◇「有馬様を呼んでいただけませんか。」
ずっと頑なに静かに刑を受けようとしていた近藤の気持ちが、 小さな女の子を見て揺らぐのでございますな。。
女の子に 口に拳を入れる芸を見せる近藤。  ひさびさの18番芸を、こんな状況で見る事になろうとは。。と、 切なくなるけど、そんな近藤の気持ちの余裕が、頼もしくもあったり。
そして笑う女の子に、愛娘を思い出し、生きる望みをかけてみようかと思い直し、 有馬を呼ぶ近藤。
そうなんだよねえ、近藤は 「新選組局長」 である前に、つねさんの旦那さんで、 たまちゃんのお父さんなんだよ。
けども、変わらない結末を思うと、ちょっと見せた生への執着が 悲しさを倍増させちゃうんだけどさ。。

◇「勝先生でも、無理なもんは無理だよ」
思いつめた目で勝に頭を下げ、近藤助命嘆願書を書くようしおらしく頼む土方に、 書けと言われりゃ、書くけども、無駄だよ、、とサラリと言ってのけてくれる勝先生。
「あんたに頼んだのが間違いだった」
いつもの睨み目線&眉間のシワ、ナマイキな態度に戻り、捨て台詞を吐いて立ち去ろうとする土方の 背中に向かって投げた勝先生の言葉。
「近藤を助けになんかいくんじゃねえぞ。」
徳川に対する薩摩長州土佐の恨みを一身に受け止め、 その死で大勢の命を救えるのは新選組の近藤しかいないと。
「本望じゃねえのかい。」
小憎らしい(笑)勝先生だけど、近藤という存在を認め、 その近藤の気持ちを代弁するかのような言葉に、思わず土方の目も潤むてもんです。。。  とは言え、助けにいくなと言われても、近藤を失ったら生きる目的も 身の置き場もなくしそうな土方へのフォローも忘れない勝先生。  榎本と共に北へ向かい、戦えと。  もっとも、もう徳川の時代はこない、、とブッチャケつつも、 最後にツボをつくセリフ。
「でもなあ、幕府にも骨のあるやつがいたって事、 ちったあ、歴史に残しておきてえじゃねえか。 
行ってやれよ。 何たって、泣く子も黙る新選組鬼副長だ。
もう新選組は終ったと内部で言うやつも(尾形さん!)いたのにさ、 まああの勝先生ですから、また口八丁でさ、 裏では舌をぺろんと出してんじゃないの?なんて疑いつつもさ、 やっぱり鳥肌立っちゃう 「新選組鬼副長」 て呼び方。
行ってやれよ、て言葉も、 榎本や旧幕府の為と言うよりも、、 最後まで戦うのをきっと近藤は望んでる、近藤の為にいってやれよ、 そんな風に聞こえるわけですよ。。  近藤の為にも、新選組のためにも、土方は戦い抜くべきだ、と。

◇「多分、もう皆一緒じゃないんだ」
見舞い、というより別れの挨拶をしに来た土方のついた嘘を寂しく見抜く総司。  さみしいなあ、、、せつないなあ。。。  こういう時は素直に騙される性格ならよかったのになあ。。
「俺も局長も永倉も原田も斎藤も一緒だ。」
確かに誰も一緒じゃないよ〜〜。。(涙) 
まだ島田や尾関なら本当に一緒にいるからもちっと嘘もリアルになろうものを。 
。。。もっとも総司が聞きたい名前は、試衛館からの仲間の名前と、斎藤の名前だったのだろうけど。
最後はシオシオショボンな切ないこのシーンだけども、 ずっと子ども扱いしていた沖田にちょいと大人な色気のある話を 置き土産にする土方は、久々にらしくて良かったナァ。 
て、まあ恋の先輩の助言ではありましたが、実は京に行ってからは、 沖田の方が様々な恋をしていたような。(笑)

◇神も仏もないっす。
生きる事に少し欲を出したのに、 望みをかけた幕府からのお返事は、
”近藤は既に家臣ではなく、何のかかわりもない、、 そちらで勝手に処分してくれ”
と見捨てる内容 。。ってこの恩知らずーーーっ!(怒)
ずっと徳川幕府の御為に全てつくしてきたっつのに、 神も仏も上様も殿様も幕府も朝廷もないっすーーー。。。
今まであくまで平静を装っていた近藤の顔に浮かんだ小さな動揺が、見てられなかったですよ。
ただひたすら 「上様のため 幕府のため」  と、戦って来た姿とか、 幕府お抱えになったときの喜んでいた姿とか、 次々と頭の中をよぎって涙。
頭を垂れたままの近藤の背中が、余りに寂しそうですよ。。

更にそれでも近藤を助けようと、最後の手段、薩摩の西郷に訴えた有馬だけども、 兵士達の徳川への恨みのはけ口を近藤に託した西郷には 受け入れてもらえず手紙は突っ返され、 有馬自身も裏で近藤助命の為に動いていた事がばれて前線に飛ばされる事になり、 ついに近藤を救う道は閉ざされてしまったのですな。。
「幾千の志士たちの無念と、残された者達の恨みを あん人に受け止めてもらいもんそ」
という西郷の言葉、 それだけの大きな恨みつらみを受け止めるだけの器が近藤にあったのだと、 それだけ近藤を買ってくれていたんだと思いたいっす。

「近藤勇を斬首の刑に処す。 期日は四月二十五日。」

ついに下された判決。
ネチネチと嫌味を言われつつも 動揺せず、ただ潔く受け入れる近藤の姿が凛々しかったさあ。
でも 『悪行を重ねた京の町に首が晒される』 て言葉は辛かったさあ。
だって彼等は京の町を守る為に戦って来たのにさ。。。

◇「勇がなにしたってんだよぉぉぉぉ。(号泣)」
政治がどうと言ってもさ、身内にとっては誠に理不尽な近藤の処分。  それでもじっと耐える人達の中で、一番素直に感情を露にしてた彦五郎さん。  いつも酒飲んでご機嫌でニコニコ嬉しそうにしていたお気楽極楽な彦五郎さんだけに、 子供のようにワンワンなりふり構わず泣き嘆く姿が悲しさ倍増。。。  本当はみんなこうやって駄々こね号泣したいんだろうなあ。  つい数週間前に立派な身なりで帰ってきた近藤を 歓迎して笑顔で迎えていた多摩の人達の誇らしげな顔を思い出すと、もう本当に辛いですわ。。

◇鬼の目にも涙。
彦五郎さんと一緒にウギャーと思い切り泣いた後で、 土方兄と弟の場面、新旧土方再びですが、悲しくも静かで、実に良いシーンでございました。。  土方家の名に泥を塗る事になってしまった、としょげる歳三を励ます 兄為次郎の言葉に、今度は歳と一緒に静かな熱い涙でありますよ。。
「誠の旗の下、京の町でお前達は、時代と戦ったのだ。  これほど痛快な事があるか。  お前達は、多摩の誇りだ。  何が正しくて何が間違っていたかなんて事は、100年後200年後の者達が 決めればいい。
迷いのない言葉に励まされてポロポロと零れる歳三の涙。 
やけにその涙が切なくも綺麗で、思わず見惚れてしまいましたさ。。
時代の流れ故に賊軍となってしまったけれど、 最後まで回りに流されず、 『誠』 を貫いてきたからこそ、 自分等の生き方には誇りをもてるってもんです。 
が、そうは思っていても近藤を救えず、 故郷の人達にもつらい思いをさせる事になってしまって、 すっかり弱気になった歳三に、この兄の言葉は救いだったろうね。 
そしてこの土方が涙するのも、これが最後のような気がいたしますです。

◇「お前に何がわかる!」
宇八郎改め芳賀宜道に、近藤が捕まり打ち首になると聞いた永倉。
つか皆よく名前コロコロ変えますなあ。  下手に名前テロップなんか出すもんだから、宇八郎に似てるけど誰じゃい! と一瞬混乱したですよ。。。 コロコロ変える、と言えば、斎藤だよねえ。  本当は御陵衛士にスパイから帰ってきてからの斎藤は既に名前を変えてたみたいなんだけど、
やだよなあ。。。『山口次郎』。 なんだか地味な演歌歌手みたいでさ。
最終的には容保様から頂いた 『藤田五郎』 で安定したみたいだけどさ、
それも何だか売れない演歌歌手みたい、、ってどっちも演歌歌手かよ!
兎に角『斎藤一』ってのは慣れと贔屓目のせいかもしれんけど、一番鋭くてらしくてカッコヨイ名前だよねえ。
、、と斎藤のことはさておき、、永倉ですよ、永倉。
新選組と袂を分かつ事になったとは言え、 元新選組2番組長の目の前でべらべらと近藤の悪口を言うような奴とこれから一緒に戦っていくのかい永倉。
「お前に何がわかる! 俺の前で、二度とアノ人の悪口を言うな。 
近藤さんを悪く言えるのは、苦楽を共にして来た者だけだ。  。。。俺だけだ!
と言う通り、残した永倉手記がどうやら結構局長副長の悪口愚痴てんこもりらしいのですが、 (更に永倉自身をめちゃくちゃカッコよく書いているらしいけど。笑) その辺りを匂わしつつ、 愛情あるセリフが最後に聞けて安心したですよ。。。

◇壁の落書き。。。。
さて一方こちらも近藤と離れて、愛するおまさと茂の元へ走る左之助。
おまさはしっかり男の子を産んで名前もちゃあんと茂とつけてますよ。 
が、お父さんに似てすぐお腹をすかしてお乳を頬張る茂のカット後の父左之助のセリフ
「あーっ! 俺も欲しい〜〜!」
。。って何が欲しいって?!  夢うつつポワンな目、、え、もしかしてさっきのおまさの場面って左之助の想像つか妄想?! やだー、左之助ってば意外とエロイ。。。  とか思ったんですがどうでがしょ。
ま、それはどっちだとしても、斎藤が押し付けた、、 もとい、送った不気味かわいいアレが おまさの横にちゃんとあったのが嬉しかったりするのだけどネ。

のんびりオニギリ頬張っている左之助が偶然耳にする近藤捕縛の知らせ。
近藤の事を思い、空を見上げて寝転んでいた左之助が、はっと何かに気付いて回りを見回し、 思わず走り出し、蔵の裏に回り、、見つけた、壁の落書き。。。  京へ向かう浪士組の宿の部屋割りに苦戦していた近藤を、試衛館メンバーが助ける場面で、 土方や山南がマジメに近藤さんの為に部屋割りに頭を悩ませてるってのにさ、 永倉が自分が昔書いた落書きを見つけちゃったら 左之助はまあ当然だけども、最後はあの近藤さんまで 一緒に落書きし始めちゃったんだよねえ。。。  ああもう、アンタのためにやってるのに、しょうがないなあ、 なーんて思いつつ微笑ましく見たっけ。 懐かしいなあ。。
そんな落書きを伏線で最終回とは、涙腺地雷ですよ、思うツボだけども もう最終回ですから、ここは思い切りツボに嵌って泣きますよ、ええ。ええ。
『永倉新八参上』 の文字の横に  『原田左之助』 、、アレそんな綺麗な字じゃないよおまさちゃん?(代筆疑惑)、 その横に 『土方歳三』 って結局土方もあの後書いたのかよ!  まるで筆で書いたような流れるような筆跡で 『沖田総司』、 そして 『井上源三郎』、『藤堂平助』 。。うわーん、愛しき友はいずこに〜。。。  源さんなんか、井の字を丸で囲っちゃったりしてオチャメすぎ。  平助のサインはきっと皆がワイワイ狭いところに集まっている 横から一生懸命手を伸ばして書いたんじゃないかと思える斜めっちゃったサイン。  そんな様子を思い浮かべると微笑ましくも愛しいっすよ。。
ヤンチャ隊士達のいたずら書きから目線を上げると、 あるんだなあ。。。近藤さんの落書きが。
どっしりした立派な文字で、墨で書かれた 『近藤勇』 の名前。
その下にやっぱり筆で 『山南敬助』 の名前もある!  ちょっと控えめに小さく書いてるのが山南さんらしいなあ。。。  オールメンバーのサイン。 結局皆イタズラ好きなんだな。
残された文字に、近藤についていった頃の自分を思い出し、
「近藤さん、今助けに行くぞ!!」
と、おまさや茂は後回しに、また近藤の元へ走る左之助が嬉しかったさ。
しかし、本当、これは反則。  これから京に行くってあの時の若々しさとか、希望とか、 彼等の自信に満ちた顔が浮かんで、 もう、なんつーか、笑いながら涙。  ほんの数年前のことなんだよなあ。

◇斎藤と虎徹と容保公。
最後の望みをかけて会津の鶴ケ城に向かった斎藤。  随分狭い場所での殿との謁見が、ちと寂しい。   ちゃんと黒紋付羽織って、 お行儀よくひれ伏す斎藤。  一対一で容保公とこの斎藤って何だか不思議な感じだなあ。
「斎藤、会津までよう来てくれた。」
斎藤、じっと頭を下げたまま
「殿に、お願いしたき儀がございます。」
そりゃもう、一生に一度の最後のお願い、それこそ斎藤一世一代のお願いでございます。  一語一句に想いを込め、ゆっくり、でも力強く口にした斎藤の言葉の後に、
「近藤の事ならもはや手遅れじゃ。  余にはどうする事もできん。」
ひゃら〜〜〜、はやっ!!
あまりにあっさりさっくり軽やかな口調で言ってしまう殿ッ!  あんまりでございます。 近藤との間に芽生えていたと思われた友情は、 私の思い違いでございましたか、殿っ。  お願いする前に釘さされた状態になってしまった 最後の頼みの綱のその無情な一言に、 思わずゆっくりあげた斎藤の表情がちと辛いけど、 実はそんな軽やか口調はいつもの殿のカラーなので許してホシイッ。。。
「無念じゃ。 近藤は誠の武士であった。  余はあの者達を許さん。 近藤の敵は必ず討つ。」
カラーといいつつ、やっぱり淡々としすぎよ、殿。  とか思いつつ、無念、誠の武士、許さん、仇はうつ。  そんな言葉全てに容保公のお気持ちはしかと受け止めてございます。  。。。でももうちょっと、殿。。。
そして刀の入った立派な袋を斎藤の前に差し出し
「この刀は、近藤に会ったら渡そうと思っていた。  斎藤、代わりに受け取ってくれ。」
と、突然やはり軽やかに、勿体ぶる事すらせず申されましても、殿。。
近藤を救う手立てが亡くなったショックと、 いきなり近藤さんへのモノを差し出されて、 何だか遺品を預かるみたいだし、恐れ多いしで、そりゃ斎藤も戸惑いますともさ。。
刀も殿も見ることが出来ないまま頑なに首を振り、搾り出すように一言。
「。。。出来ません」
「お前に受け取ってほしいのだ。近藤の意志を継ぎ、 これからも徳川家のために働いてくれ。。。  虎徹じゃ。。」
その一言で、はっと顔を上げる斎藤。
「。。。虎徹。。。」
何かを思い巡らせるようにしばし考え、 そして恭しく手を差し伸べ、虎徹を受け取る。
「斎藤一、身命を賭してお仕えいたします。」
その一言と、虎徹を受け取ってくれた事に満足そうな顔をする殿。
おお、こんな形で虎徹かあ。。。と感慨深く画面を見つめる横で、 ”虎徹と聞いて目の色変わった?”って妹よ、
ち、違うぞー!!そうじゃないんだーーー!!と叫びたいっ。  今すぐこれはね、と説明したくてもドラマに集中したくて出来ない歯がゆさッ!にギリギリ。。
まあでもそう思われても仕方ないかも。。。 斎藤と虎徹はイキナリだったからね。。  斎藤は刀の目利きが得意だったって説もあるし、そんなあたりから チョットでも近藤と斎藤をからめて虎徹の伏線を描いてあったら、 この場面で虎鉄の名を聞いて斎藤の顔色が変わるのも尚感動した気がするんだけどナ。

近藤が愛用した名刀として有名な虎徹だけど、 この物語で近藤が持っていたのは、兄の音五郎が 西へ向かう弟への餞に贈った一本。  音五郎的には大金の20両だったけど、当然名刀としてはビックリ破格の安さ!で、 まあいわゆるパチモノだったわけだけども、それを知った上で
「俺がこれを虎徹にする」
と言った近藤。
自分と一緒に本物を目指す相棒として あえて偽である虎徹を腰に差しつづけたんだろうね。
やがて近藤は京で武士として認められ、 近藤の中ではパチモン虎徹も本物になったに違いない。
そんな近藤の想いをもし斎藤が知っていれば、 その名前に思わず反応するのも当然でありましょう。

しかし容保公、虎徹手に入れたのも渡すのも遅すぎ。。。
もう少し早く、直接近藤に渡せたら、どんなに喜んだかしれないっつのになあ。
が、そのお陰?で、虎徹を手にする事になった斎藤。  今や囚われの身となり、恐らく生きている間に会う事は叶わないであろうご主人様の 分身ともいえる虎徹との出会いは、思わぬ主人との再会の様にも思えたり。。  切ないけど、、ちょっと嬉しい、、みたいな。。。

受け取った虎鉄を静かに、ゆっくりと大事そうに床へ置くと、早速初仕事の命令でございます。
「早速だが仕事を頼みたい。」
「はっ」
殿直々のご命令であります故、 ぴんと腰を伸ばし正座して手はきちんと腰元におき、神妙にお返事する斎藤。
ノラから成長した姿にちょっと見惚れつつも、 柱や壁にもたれてあぐらかいて、 ツメをがじがじかじりつつ、「承知」、、と呟く斎藤が早くも懐かしくなってみたり。
新しい飼い主、容保公からの最初の命令は、
「京へ向かってくれ」
その言葉の真意に気付いた斎藤の眼の色が変わる。
「首は三条瓦に晒されると聞いた。 奪い返せ。」
先の殿の諦めの言葉に救いの道が閉ざされ、悲しげな色を見せていたその表情が みるみる変わっていくんだよねえ。
「かしこまりました」
この時の斎藤の微妙ながら繊細な表情の変化が素晴らしくて大注目っすよ。
近藤の首を奪回せよとは、なんともヤンチャな命令じゃござんせんか容保公、 アンタも以外とやるじゃん、そんな思わず勢いハイタッチなんかも したくなるような命令に、斎藤らしい輝きを戻す目、ニヤリと小さく上がる口元、 それこそ、「よろこんで!」 と言い出しそうな顔。
願ってもない命令、嬉しかっただろうね、斎藤。
それを出来るのは俺しかいない、と、そんな自信が満ちている目。
「近藤の首はこの会津で丁重に葬る。  今よに出来るのはそれだけだ。」
そう言ってぎゅっと唇を噛み締める容保公。
最後までさらっと話してますが、殿的にはマックス悔しさが溢れる言葉でありましたよ。
こんなツボな命令を下す会津の容保公という新しいご主人、 案外気があいそうじゃない? 斎藤わんこ。


■ 慶応4年(1868) 4月25日 ■

ああ、ついにこの日が来ちゃいましたさ。。 
つか、長いな!本当に今回のレポ。。  大丈夫ですか? 目が滑ってませんか? 
いやすべる目はそのままに!! どうぞお気楽につまみ読みしてくださいませね。 
お手前方、あともう少しの辛抱ですぞ!  とか呟きとかしてるから長くなるんだよなあ、いかんいかん。。。 

処刑の場所を作る為に杭を打つ音と、  女の子の手まり唄と、  もはや無の心でその時を待つ近藤。
いやもう切ない。
杭を打つ音が響くたびに、胸に杭打ちつけられるようにガツンと苦しくなるよ。  痛い。 痛すぎるッス〜。。。

◇それぞれの、”その時”の待ち方。
その心中や想像を絶するのだけども、毅然とした態度で 勇の最期を見届けようと処刑場へ向かうつねさん達、
かつて何度も命を狙われつつも、実は近藤という人は好きだった、と 言う桂、、もとい木戸。
宇都宮では、 近藤の処刑の当日と知りつつ、その事は口にせずに 戦に挑み続ける土方。
勝ち目がないから引くべきだと訴える兵の その首元に刃を突きつけ
「戦はまだ終ったわけじゃねえ!   宇都宮が駄目でも会津がある。  会津が落ちても蝦夷地がある。 
先に死んでいった者達の為にも、 俺たちは最後の最後まで戦わねえとならねえんだ!
。。。痺れるなあっ。  新選組鬼副長土方はこうでなければっ。
最後に時代をひっくり返せるかどうかじゃない、 戦い続ける事が、何より近藤の意志を継ぐ事なんだーっ。

と、それぞれが離れた所で近藤への想いを胸に ”その時”を迎えようとしている中、呼ばれもしないのに直接会いに行くという、 持ち前の行動力を見せつけたのが捨助。
「かっちゃん、俺は最後まで一緒にいてやるぞ。」
新選組隊士となのり、近藤の前にたどり着き嬉しそうな捨助を助ける為に、 こんな奴は知らないと拒絶し、追い返そうとする近藤。
「新選組の名前をかたるなど不届き千万!  知らん!!」
この怒鳴り声と表情の迫力にゾゾときた。 いやあ本当に香取近藤良いっすねえ。
ショックを受けてる捨はかなり可愛そうだけども、 こんなんでも、最後に近藤と言葉を交わした仲間が 捨助だったとは。 捨助最後までおそるべし。。

◇もしかして新選組一番残酷な展開なんじゃないか、沖田。。
。 近藤の処刑の日どころか、捕縛された事すら知らされていなかった沖田。 
病気で戦線離脱し、 お考に淡い恋心も芽生えて、刀も手の届かない所へ隠され、 殺伐とした世界から離れたのんびりしたひと時に、 もう人を斬る業から逃れたかと思ったんだけど。。。 
神様は沖田にそれを許さなかったんだなあ。
いきなり訪れたお考の死、しかも自分を庇っての死、これは余りに残酷な展開。
刀を隠したお考は、万が一こんな事があっても、 自分の為に誰かを斬り捨てる沖田には戻らないで欲しかったのかもしれないけども、 目の前で好意を寄せていた人が虫けらのように斬り捨てられて、 最後には結局刀を握る事に。
病でボロボロの体でも、お考を斬り捨てた者への憎しみも込められた刀は あっという間に3人もの刺客を斬り倒し、 いやはや、、その鮮やかな剣さばきは流石沖田、腐っても沖田。。。 が、自分だけが生き残るという、虚しい結末が待っていたんだなぁ。

人を斬り、病に倒れて、沖田なりに色々悟ったようだったけど、
ありんこ一匹の命と人の命の重さが同じだと言うお考の言葉は理解できなかった。
それがついに何もかも失って、やっとそれを理解する沖田。
自分の周りを囲む命が消えていく事が本当の孤独なんだよね。。。
命に囲まれてこそ生を感じられるのでございます。  それは人じゃなくてアリンコや雑草も同じ。
血まみれの床の横で、力なく布団に横たわる寂しい姿。  生き残りはしたけれど、大事な人を失い、希望が消え、 僅かに残った命が消えるのを待つだけ、、とは、 本当の死より辛い結末を与えたもんだよなあ、三谷さん。

が、ここまで細やかに丁寧に沖田の心を描いたのは凄いよね。  何かきっかけがあって、人がころっと考えを改める、そんな事も確かにあるけど、 案外人間の本質なんてそうそう変わるものじゃない。  変わった気がしてるか、表向きそう偽って回りにあわせることを覚えただけの場合も よくあるもんです。
だけど、この沖田は、とことん本質の奥の奥まで、追い詰めて追い詰めて、 死ぬ間際に大事な人を目の前で失い、 そこでやっと、アリンコ一匹分の命の重さを心から知る、、、 と、1年放送の大河ドラマの長い時間を使って、じっくりと、なんと贅沢な成長を描いたもんだ、と 感心するのでございます。。。

近藤と別れた者達の描写が、後半はそれぞれに「新選組」スピリットというべき 近藤の意志を継ぎ、再び盛り上がっていく中、ひっそりとと消えて行く沖田の寂しさ。
いわゆる「滅びの美学」と言われていた新選組の寂の部分を一身に請け負った感じがいたします。。

とかシミジミしつつも、襲われた沖田に植木屋平五郎さんが投げる 刀のリレー、旧沖田@血風録→新沖田@新選組! への、 世代交代のバトンタッチなんて往年のファンと新規ファンへのサービスなんかもあったりして。
。。つか、それをやりたいが為に沖田の刀を隠したんじゃ? とか勘ぐってしまったよ。。(笑)。

◇ふたつのコルクのお守り。
いよいよ処刑直前、じっとあのお守りコルクを見つめていた近藤。 
それを取り上げ、しかも床に無造作に投げ捨てた兵! あんただよアンタ!  あんた、鬼だー。
それくらい持たせてやればいいじゃんっ。
コルクが何したってんだよー!@彦五郎さん
コルク一つを大事に見つめる男の気持ちも分からない奴等に 誰もついていきはしないっ!@鹿之助さん
最後の最後まであれは身に付けていくだろうと思っていたのに、かなりショック。
黒船を見た21の時から14年。 ずっと肌身離さず持っていたコルクが可愛そうっす。
が、投げ捨てられたコルクお守りに未練を見せずに、 そのまま処刑場へ連れて行かれる近藤を見ると、もう運命が決まってしまった彼には  ”お守り” なんて意味がなくなったんだろうなあ、近藤のコルクのお守りは、 もうお役目が終ったんだろうなあ、、とも思えたりして、更に切なくなったりしたです。。

が、片方のお守り、はまだまだ現役。
その頃土方はまさに戦場の真っ只中、 かっちゃんの処刑当日と知りつつ話題を避けていた土方だけど、
戦火の中そっとコルクを懐から出して見つめぎゅっと握り締める。
「お守りだ」
そう言って 悲しさに耐えるように ぐっと口を引き締め前を睨みつける土方の表情がまた凄く良くてさ。
堪える土方の分も こっちの涙腺は全開でありますよ。。

◇よくやった、近藤!
最終回だけにあちこちにちりばめられている伏線。
処刑場へ連行されていく近藤が、大勢の野次馬の中のつねさんと 一瞬目があって、そのまま通り過ぎていく場面は、  『西へ!』 で京へ向かって出発して時と同じだけど、 余りの状況の違いに、比べると余計切なくなるから注意。。。
身内だとばれないよう、静かに見送る筈だったのに、
「近藤勇! よく戦いました!」
「お前は、多摩の誇りだー!!」

思わず叫んだ養母と兄、それをきっかけにあちこちから上がる近藤へのエール。
我慢していたつねさんの目から涙がポロポロ。。
京を発つ時に石投げられたりしてたし、宇八郎が言ってたように悪い評判も多かっただろうし、 ここでも冷たい視線に晒されて行くのかと思ったら、この展開、 思わず胸が熱くなり、ホッとしたですよ。  実際はどうだったかなんて、どうでもよいよい。  あの民衆のエールって、このドラマで真直ぐな生き方を してきた近藤を見守りつづけていたこちらの気持ちを表してくれたのかもね。 ええ、一緒に 「あんたは誠の武士だー」 なんて心の中で叫んださあ。

◇まだいたのか、尾形!
ついに処刑場に膝をついた近藤を見て、走り出す左之助を止めたのが、 あの温度の低い尾形が再び登場。
思わぬところで出会った新選組隊士に
「みんなここにいるのか?」
と聞く左之助に、 皆バラバラで、自分も新撰組を止めたと告げる尾形。
「辞めた奴が、何でここにいるんだよ。」
って皮肉な笑いで言うけど左之助、 その言葉そっくりそのままアナタに返す!
最後まで新選組の行く末を記録するように、との山南さんの遺言を思い出して戻って来た とは言ってるけども、
この男も冷静さの中に熱い新選組魂を持つ一人だったんですなあ。
近藤の元へ無謀と知りつつ向かおうとする左之助に、思わず叫ぶ”最後まで馴染めなかった男”!
「ここでアナタが死んでも、局長は喜びはしない!!  生き延びるんです。 
生き延びて、官軍に一泡吹かせてやるんです。  それが残された者の務め!」
声を荒げて叫ぶ姿も初なら、涙をぐっと堪える姿も初の尾形。
。。。いいじゃん、尾形。
いけすかない奴だなあ、、と思っていた人ほど、後々にいいところを見せ付けられた際の 好感度の上昇度合いが大きいもんです。  残り数十分にして、尾形のキャラが赤丸急上昇でございます。

◇死の直前に。
筵に座らされた近藤。
近藤の最期のために用意された処刑場のセットは、 ロマンの入った構成にしたそうで、 小さな池や、小川が流れて、プチ庭園といった感じで妙に和む。。   これから打ち首処刑という悲惨な展開が待っているのに、 近藤の目から見た世界はとても美しくて、 回りの雑踏も消え、鳥のさえずりだけが聞こえてきてとても安らかな時間が流れているんだよね。
ふ、と、 髭が伸びたままの首ではみっともない、、と髭を剃る様頼む近藤。 
死を直前にした人とは思えない冷静さと穏やかな表情に、思い出す切腹前の山南さん。 
最後の差し入れの食事を持って来た源さんに、腹を切った時の事を考えて 冷静に断っていたっけ。。
(もっとも、源さんは逃げて欲しくて食事を持って来たんだけどネ)
自分が死んだ後の身だしなみを考える。。。
近藤さんは切腹じゃないけど、覚悟を決めた武士っつのは、、、なんつーか すごいねぇ。

◇捨助。一人特攻隊。
ええええ?なんで捨助が死ぬわけ?!  つか、これ捨助の夢オチとか、妄想なんじゃないの?
なんて我が目を疑いつつ見届けた、捨助の名前の通りの捨身の特攻。
お気楽狂言回しの喜劇部分を担当していて、いつも笑いながら見させて貰っていた捨助だけど、 実は彼も相当命からがら生きていて、それでも帰らなかったのは かっちゃんが大好きだったからなんだよなあ。。  何気に薩摩だ長州だ幕府だと、節操なしに身を置きつつも、 とにかくかっちゃんを追いかけてきた捨助の人生。  土方や斎藤は、近藤亡き後も生き続ける理由を得たけども、 捨助には何もなくなっちゃう。 かっちゃんありきの捨の人生、 最後に近藤のために特攻するしかなかったんだろうなあ。
かっちゃんにやっと入れて貰った新選組の羽織を身にまとい、 神社にあった紅白の縄を失敬して襷にかけて、更に ハチマキに差し込んだ風車。 捨助なりに、気合を入れたその格好が、 正に狂言的でおかしくも、悲しいっす。
が、最後に見せた捨助の驚きの剣さばきに釘付け!!  斎藤の 「出来る!」 はボケじゃなかったのだね?!
いや火事場のナントヤラ最強って事だな。
門の前の二人の兵をばっさばっさと斬り、竹で組んだ柵を一刀両断、そして
「新選組!! 滝本捨助、参上ーーーっ!! かっちゃーん! 待ってろーーーっ!!」
ってなんだよ強ええよ、カッコイイよ、新選組を名乗るなんて捨、泣かせるなあ。。
が、彼の運もここまで。 いや、今まで捨が生き延びてこられたのって、 実は逃げ足が速かったからで、、こうやって自ら向かっていくなんて、初めてなんだよね。
「かっちゃん、待ってろよ」
そう言って静かに目を閉じた捨の穏やかな死に顔を見ると、 最初から死ぬ場所を求めて突っ込んでいったのじゃないかと思えたり。。
そして 「待ってろよ」 なんて言ってた捨助の方が、かっちゃんより先に”あの世”で 待つ事になっちゃいそうだ。 
で、いつもの会話をしちゃうのかな。
「お前なんでここにいるんだ」 
「呼ばれもしないのに現れるのが捨助でございますよ!」


◇新選組は不滅だぁ!
髭も綺麗に剃ってもらい、後ろに立つ太刀取りが刀を水で清め、 いよいよ、、、その時が、、と、身を堅くして見守っていたその時。
「尽忠報国の士、天晴れなりー!!!」
って、『天地ひっくり返る』で鴨が叫んだあのセリフが再び!  今回叫んだのは、左之助。
誰じゃー!!と、色めき立つ処刑場の向こうの木で手を振り、さらに
「新選組は、不滅だーーーっ!」
左之助と目が合った近藤の顔が思わず緩み、いたずらっ子のように小さく微笑んで、 左之助もにっと笑顔で返すけど何だかちょっと泣き笑い顔。  でもそれが凄くよかったなあ。。。
処刑の本当にギリギリ直前に、左之助らしいやんちゃなお見送り。  左之助達が出て行った時に本当に寂しそうな顔をしていた近藤だから、 戻って来た仲間の姿、本当に嬉しかったんだろうなあ。  しかもほんの少しだけど、官軍に泡吹かせたりして、 これが 「新選組」 流の見送り方だと、ちょいと痛快な気分っす。
「後はヨロシクな」
と軽やかに逃げていく左之助の変わらないお気楽ノリに、思わず 口を大きく開けて笑い出す尾形!
お、尾形が笑った! 尾形がハハハと笑うとこんな顔!! 
もう腹のソコから、何だかわかんないけど愉快ッ! そんなナイス笑顔を最後に見せてくれた尾形、いいなあ。
尾形のその後は分からないけど、 彼もきっと官軍に一泡吹かせる為にどこかで頑張っていたんじゃないかと思いたいっす。

◇そして斎藤一の見納めシーンでございます。
京へ向かう途中の関所にて、 官軍4人に囲まれた斎藤の姿。 
背中には、容保公から頂いた虎徹を大事に背負い、 淡々と低い声で。
「会津藩主、松平容保公の命により、近藤勇の御首を頂きに参る。」
囲んだ兵達がどよめく。
「何者だ!」
「会津藩お預かり 新選組三番組長、斎藤一」
な、名乗りなのに妙な色気があるんですけど斎藤さん。。
会津藩お預かり、、の部分で左右に隙なく目を光らせる顔もたまらんオットコマエで見惚れ、
その後の斜め上からのクールな横顔、今度はが妙に綺麗でドッキリでございます。
突き進むべき目標を得て、刀を抜く事に迷っていた斎藤はもうおりません。
いやもう、この4人程度の銃に頼ったような武士もどきなんて 新選組の剣豪斎藤一の敵ではないって言うような余裕の表情にもうクラクラですよ。
「取り押さえろ!!」
その声と同時にに持っていた笠を横の兵に投げつけ、 目の前の兵を斬り捨て、横の一人はたすきに一太刀、 振り向きざま後ろの一人をに横一文字、返し様銃を構えた兵を一刀両断。  銃声が虚しく響き、そのまま崩れ落ちる男。。。
あっという間に4人一丁上がりですよ。 
一呼吸ごとに一人、ぽんぽん、とリズミカルに斬る流れが気持ちよいったら。
いやー、やっぱり無敵の強さって痺れるわ。。。 
 
更に胸から勢い良く取り出した懐紙でもって 刀の血を拭い、ばっと放り投げるなんて 見得を切ってみたり!
どうした斎藤? と戸惑いつつも、ばっちり絵になっててオッケーです。

。。。けど、懐紙全部使うなよ!
普段使ってる所は一度も見たことなかったのに、懐紙!!
懐紙は大切に!
でも後で拾いに戻るなよ、懐紙!!
これから近藤さんの首を奪回しに行くという 大きな役目に、忠犬の熱い血が沸き立ち興奮し、
思わずこんな ”らしからぬ” 行動をとっちゃったのかしらん、斎藤。
とか言いつつ、、斎藤の通った後の関所には必ず血まみれの懐紙が散らばってたりしてね。。
ま、マーキングみたいなものって事で!(違)
そのうち、 『懐紙侍』 とか呼ばれちゃったりしてね。。
。。。。それはイヤ。
。。。。。まあ懐紙はさておき。
刀を鞘に収め、野生の戻った鋭い目で、ずんずんと突き進む斎藤。
その目的を思うと、胸が苦しくなるのだけども、 そんな目的も 『近藤さんの為』 に斎藤が最後に出来ること。
その決意溢れる熱い表情にもう釘付けでありましたさ。。

いやー、名乗りってのは本当にカッコイイね。  ましてあの低い暗い声で淀みなく名乗る斎藤にメロメロ。 
オダギリの声って耳じゃないところに響いてくるんだよねえ。
で、恐らく初めてだよね、斎藤がこんな風に新選組の名乗りをあげるのって。
会津の容保公に身命を尽くす身となっても、 その魂はやはり新選組の近藤さんのモノなのでありますよ。
隊士はバラバラになり、近藤の命も尽きて行くけども、 「新選組」の魂は皆が継いで行く、
そんな展開が本当に嬉しくて、 涙涙でありつつも、気持ちが高揚していくんだよなあ。。
で、斎藤、結局頂いた虎徹は使わないのだろうなあ。
容保公から受け取ったのは、近藤さんにそれを報告して見せたい一心で。
ただ今は背負った虎徹を近藤の分身だと思って、 ひたすら京へ向かう斎藤なのでした。。。
(と、「きょうのわんこ」風に読んでネ)
しかし斎藤さん、こうやって関所を突破しつつ、テクテク歩いて京へ?!
な、長旅だなあ。。。
近藤さんの首、干からびちゃうよ。。。
急げ!斎藤!!
つか馬でも貸してやれよ、殿!

はー、 本当に有難く嬉しく大満足の斎藤ラストカットでありました。
三谷さんありがとう。。。



◇土方!
まだまだ終らない戦に身を投じる土方達。
「いくぞ、島田、尾関!」
「おーーっ」
降り注ぐ銃弾の中で、堂々と『誠』の旗を掲げて 抜刀し、向かっていく姿。
刀の時代が終ったと言い、洋装に身を包んでも、 この日は刀で戦いたかったのかな。。
。。まるでその場で討ち死にしそうな形相で、 無茶な特攻をしているような最後の土方の姿、 思わず土方ここで死ぬのか!!と一瞬思ってしまったよ。。。
いや、死なないし。 続編へ続くし!
なーんてしつこく続編希望と言いつつも、 きちっと締めた最終回を見てたら、 これはこれで、ここで終わりでも満足なような気もしてきちゃったんだけどネ。  勿論、続編があったらあったで、そりゃもう 狂喜乱舞しちゃうんですけどネ。
函館の土方は勿論だけど、土方の代わりに新選組を率いて戦う斎藤、見てみたいもんなあ。

◇近藤の最後については、もう多くを語るまい。。。(と言いつつ語る)  
素晴らしい表情だったなあ。。。
香取君が本当に死ぬんじゃないかと思っていたのも分かる、 本当に近藤が憑依していたような顔だったよ。
最後の言葉の後に隠されていたという、 (これからどうする?)  という、終わりにして始まりという、不思議な高揚を感じてるような、 それでもこれから命を絶たれるという、イキモノとしての生理の恐怖もうっすら現れたような、 演技ではない、リアルな心情が表れていた生々しさ。
これはもう、近藤さんそのものだったとしか言いようがございません。。。
そんな香取近藤の表情と、逆光の中堂々と はためく深紅の 『誠』 の旗のイメージに、泣いたね。 泣いたさー。。
。。。ただ悔しいのは、最後の言葉のネタバレを目にしてしまっていた事。。。
うーむっ。 香取くん自らネタバレするとは思わなかった。迂闊であった。
が、香取局長のした事に、何故か文句が言えない、新選組!にどっぷりな私でございます。
けどもやっぱりね、、、最後まで何も知らずに見たら一体どんな気持ちだったろうな、とか 思うと。。。
ネタバレは罪だよなあ。。。

それと。 この最後の近藤は、 罪人扱いではあったけども、縄で縛られたりしていんだよね。
それが見送るこちらとしては、見た目的にかなり救われた部分もあったなあ。
武士らしく切腹させてもらえず打ち首だったという史実は変える事はできなかったけども、
真っ白な紋付袴姿で堂々と座り、自ら首を差し出す事で、
斬首ながらも武士らしい切腹の様な最期を近藤に演出してあげたんだろうね。

   振り下ろされる刀、    そしてついに『完』の文字。

ああ、終っちゃったんだなあ。。。。
としんみりした所に、 そこからまたオープニングのテーマ曲、そして名場面ってか?!
”いとしきー友はいずこにー”
のヌッツォの声と共にさ、ずらりと並んだ隊士の姿を見せられた日にはアナタ。(号泣)
つか、もうまた最初から見たくなるじゃないすか。
こりゃ途中から見た人や、録画してなかった人にはDVDを買えと!?
。。。それだ!。。。効果絶大だよね。予約はお早めに。
とか言いつつ 『ほぼ日』 が気になって予約できない奴がここに。。。糸井さん、、発表は、、まだですか。。

それにしても最終回、ええ、確かに3分毎、いやそれ以上の見せ場だらけの 濃〜〜〜!な内容でありましたよ。  これだけの大人数の落とし前を最終回でそれぞれきっちりつけつつも、 更に伏線まで絡めてきた三谷さん、アッパレなり。 
近藤打ち首の後に画面がブラックアウトして 『完』 の文字はでたけれど、 近藤亡き後もそれぞれに疾走していく隊士達の姿が余韻を残し、 涙涙でありつつも、妙に爽やかで清々しくて、いやまさに、
「新選組は終らない!」
そう叫びたくなる最終回でございました。

一年間楽しめた、オダギリ演じる斎藤一。  本当に良かったです。
カッコよくて、可愛くて、色っぽくて、更に切なくて、 気がつくとボケボケで、つかワケワカラナイし謎だらけだし、 いいのかよ、それ!!ありかよ、それ!!。。なんて わが目を疑うほどのオイシイ場面も多々ありましたなあ。。。
この先フンドシ姿なんて見れるかどうか、、ってソコかよ!
いや、まあそんな嗜好はともかく、待望のポニー総髪和装、堪能いたしましたぞ。
特に犬系オダギリ大好きな私には、この忠犬わんこな斎藤は、もう ツボツボで、大満足の一年間でありました。
。。。かわいかったなあ。。。(しばし回想)
はあ。。。。ありがとう大河。 ありがとう三谷さん。 ありがとうNHK。

それなりに新選組にはミーハーにはまったこともあったけど、 恥ずかしながら、土方近藤沖田以外の名前にはさほど興味を示さなかったアノ頃。  が、斎藤一を筆頭に、ひとりひとりが丁寧に生き生きと描かれていて、 再びもっと深く一人一人を愛しく思える今日この頃でございます。 
もはや新選組といったら、この組!での面々しか浮かびませんぞ。
本当に一年間お疲れ様&ありがとうでした。

最後に。
最初大河と聞いた時は、いちねんかん〜〜?やれるわけないっす、やんないよ!  そう宣言したっつのに、気がつけば何だか恐ろしく長いレポを晒した一年間。。。  最初はオダギリ斎藤部分だけにするはずだったのになあ。 おっかしいなあ。  だってどの役にも三谷さんの愛情がこもってて、しかも演じる俳優さんがどの方も魅力的過ぎて、 もう省き様がなくなってしまったんだもんなあ、で、気がつけば 「新選組! 」レポ状態。。。  加えて、歴史オンチな上にボキャ貧でもって、数々いたらないところはあったと思いますが、
最後の最後まで、お付き合いくださった方、本当〜〜〜!にありがとうございました、 &お疲れ様でした。

感謝込めまくりつつ。。。『完!』                                                  kyomii


                                         二〇〇四年 十二月十二日放送





[ふにゃTOP]