■ 其の三十 第四十二話 『その先はどうなる。。』 ■

映画祭たけなわの今日この頃!  新撰組ももりあがる今日この頃!  毎週毎週歴史的大事件の新選組! 
濃すぎる内容になさ過ぎる時間!  。。。。そんなわけで、軽やかにさくっとレポ。。。するつもりでございますよ
多分。。。という事で42話。

”西本願寺を出て行け! いえ、出て行ってください オネガイシマス、この通り。 
立派なおニューの屯所も作ってさしあげます。”
と、丁寧に追い出されてお引っ越しをした新選組。  しかし気がつけば幕府が無くなって、せっかく就職したのに会社倒産の憂き目。  給金の事を心配する土方に 『心配するところが違うだろう』 なんて局長、 局長はご公儀第一でも宜しいのですが、どんな理想も腹ぺこじゃあ霞んじゃいます。  大勢の隊士の生活を預かっているのをお忘れなくですよ。

なんて言いつつも、本来歴史音痴のワタクシ、島田同様
「オオセイフッコってなんだよ、何がどうなっちまったんだよ」
などとお汁粉すすりながら言ってみたい気分でございます。
「昔はこういう時に、解説してくれる人が必ずいたんだがなあ。。。」
と呟く永倉の言葉に、腕を組んだあんな人や、涼しげな笑顔をしたあんな人や、 ちょっといつも傾いだあんな人が、(同一人物) 浮かんで寂しくなりつつも、この場面、何だかこう、何かが引っかかる。。はて。
甲斐甲斐しく働く前掛け姿の左之助? いやいや、 おまさちゃんのお腹の大きさ? いやいや。
つか、おまさちゃん何時の間に! こりゃ言っておかなきゃ。 『おめでとうございます。』
。。。おめでとうございます、といえば。一ちゃん。 一ちゃんといえば、例の。。
。。。それだ!! 思わず巻き戻し、コマ送り。
いた。 いましたよ。 モアイちゃん。
斎藤の押し付けた、、いやいや、心をこめて差し上げた、素敵プレゼントが柱に。。
しかもエラそうに、専用の棚に鎮座ましましてございますよ。
更には赤いおべべまで着せていただいて。 いや、フンドシ? いや、よだれかけ?
それなりに可愛がってもらっているようで、嬉しいなあ、なんだか。
なんせ斎藤が常に持ち歩いて、ヒマを見つけては、 もといヒマにまかせて彫りつづけていた、
斎藤の手垢と汗と涙(?)と魂がこもった逸品でございます。
あの無表情なようで、はにかんだようにも見えるお顔が、何気に斎藤にも似てございませんか。
まあ、そんな斎藤の分身ともいえるモアイちゃんが、こんなに大事にされているのは、 ちょっぴりウレシイ感じです。
斎藤の出番がなくても、そこに斎藤がいるような気がして、ほんわかいたしますよ。
これからも、モアイちゃんを、大事にしてくださいね、原田さん夫婦。
うん、魔よけにはなるかもしれないですとも。


そんな混沌としてきた時代の流れに、 久々に聞く近藤のこのセリフ
「教えてください、一体この先我等が何をすべきか」
我等が何をすべきか。 何度目かしら、この言葉。  大分成長した近藤ですが、やっぱりいざとなると、 「教えてください」 が出ちゃったさ。 それが、まあ、幕府の犬とも言われた新選組らしいと言えば、、らしいのですがの。
で、なんと永井B作様からは、龍馬を守れとのお達しですよ!
命令されれば、自分達の存在する意義が発生する。 そして安心する。 その繰り返し。 
が、勿論それが悪いとは申しませぬよ。 
それに 近藤はおかしいと思った時は、無礼だと言われつつ反論する勇気もありますからな。
そして三谷『新選組!』の新撰組は、竜馬を守る役割を得てございます。 …まぢっ?!
。。。史実は知らんけど、ドラマの中ではそれもアリ。
歴史の知識の刷り込みはとっぱらって見てみたいじゃないですか。

今回はタイトルが 『龍馬暗殺』 だけに、お話も龍馬を中心にめぐっていきます。
龍馬を護衛しろ、と言われた平助、勝手に歩き回る龍馬にオロオロ。
「せんせぇ〜〜〜!! こんな所1人でふらついていては、危険ですぅ!」
注意しても全く動じずやっぱり勝手にうろつこうとする龍馬に、
「せぇ〜〜〜んせぇい〜〜〜」
と声もひっくり返り、久々のクネクネ乙女走り&トホホ顔で追いかけて行く平助。
やっぱりこういう平助を見れると和むなあ。
て言うか! なに?  京の町のファストフードってば、イカしかないんか、イカしか。
もう何度目よイカ。 イカ大人気。 けどイカ食ってるのって、メインの人たちだけなんだな、イカ。
町を歩いている人たちでイカ食ってる人いないよ、イカ。
食べ物時代考証はしっかりしてるらしいけど、んじゃ当時のここいらはイカブームですか。
。。。あっ。 イカブームってなんか響きが攻撃ぽくね? イカビーム。 。。くだらないよ。

そんなイカは大嫌いな、斎藤、今週も甲子太郎の用心棒という存在で出番少ないす。
分身のモアイのが出番むしろ多いんじゃないかと思えたり。
が、時間は短くても、濃い印象を残して行く斎藤一。
龍馬の所にお邪魔してる伊東先生の後ろに平助と同じ様にいる筈なんだけど、 毎度の姿勢の悪さと、正座ではなくあぐらかいてるせいかしらん、 小さく、若干ひとりだけ遠くにいるように見えるよーな。。。
つか、暗っ!!! 何故か斎藤だけ、妙に暗っ。
どうなんでしょう。 照明さん、、斎藤にあかり、届いてませんよ?!
心を開かない斎藤、間者な斎藤を表現してるのかと、余計な深読みもするってもんです。。
岩倉卿を囲んでの会合に出席するという伊藤先生、 それを聞いて、最近日本の行く末に感心を持ち始めたという平助も行ったらどうかと 勧める龍馬。  影の斎藤はそれらの会話を聞きながら、平助をチラリ。 
こういう時の斎藤の怪しげな存在感と目つきが非常に好きデス。
「伊東のスパイをしつつ、平助を守れ」  なんて、体が二つ欲しくなるような命令うけてますからなー、斎藤。
あっちこっちにアンテナ張って、大変ですわ。
伊東の傍についている若者二人、平助と斎藤ですが、斎藤ってば、本当に用心棒扱いですなぁ。
龍馬と伊東先生と平助で、なにやら賑やかそうな会合への出席の話をしてる中、 同じ部屋にいるのに、斎藤はハナから会話の蚊帳の外という感じですよ。
皆ステキな舞踏会にこれから行くのに、シンデレラだけはお留守番なの。
そんな感じ。 いや、違うな。ごめんなさい、ちょっと言ってみたかっただけです。
兎に角、何でコイツが伊東にくっついているんだろうと思うような 雰囲気の異質さを放っている斎藤。 
どーみても怪しいよなあ(笑)。
しかし平助を連れて行ってあげろと勧めまくる龍馬に伊東先生、何故あそこまで気乗りしない顔なん。
龍馬の護衛なら他にも御陵の仲間がいるだろうし、 甲子太郎は笑顔が爽やかなだけに、曇った顔すると途端にうさんくさくなるから 色々疑ってしまうわけですよ。
  あやしい伊東先生と、あやしい斎藤。 平助だけが純粋で無邪気な、妙な3ショットすね。


結局平助は無事舞踏会、、じゃない、会合に連れて行ってもらえたみたいで、 よかったね、平助。
で、斎藤はというと、平助の代わりに置いてかれましたよ。 うわーん。 
これじゃあ伊東のスパイも、こっそり平助護衛も、どっちも出来ないじゃないすか、だめじゃん!
でもって最高に居心地が悪そうです。
。。。龍馬が。
いや、斎藤が。
つか、お互いに。
なんだ、この空気(笑)
障子を開けて中に入ると入り口に番犬のごとく、ねっとり暗い雰囲気思い切り漂わせて シブシブその場に座っている斎藤を見下ろした龍馬さん、なんちゅーイヤな顔しますの(汗)。 しっぶい顔した後に
「おまんも帰ってええき」
帰っていい。 というより、むしろ「帰れ」て感じですが、 言いつけどおりに任務を遂行する、キまじめな斎藤としては、 そんな事言われても今の主人は伊藤先生なわけで、、、

「伊東先生に、、、、残るよう、、言われた。。。。」

小さ!!! 声、ちっさ!!
口の中でモゴモゴ。。。。言いたい事があるならはっきりいいなさい!  そんな風に叱りたくなるような。
思い切り自信なさげな、言い訳めいたその口調。。
所在なさげに、左手は何だかいじいじ指弄りしちゃってるし、、、。
かわいいじゃないか。。。。
今風に言えば、  「だぁってぇぇ、伊東先生にぃぃ、残れって言われたしぃぃ。」  そんな感じ?  
犬ってさ、命令する主人が沢山いると、戸惑うらしいんですよ。
誰に従えばいいのかと、まさに今、斎藤は心細くなってるようで、 何だか年相応の幼さが垣間見れて愛しさ倍増。
「中岡もおるきに。 心配せんでええ。 というか。
おまんが居ると、場が堅とうなっていかん
龍馬さん、そんな。 誰しもが(苦笑)思う事を、そんなハッキリキッパリ言わんといて。
場が固くなるなんて。 暗くなるなんて! 酒がまずくなるなんて!!
。。。そこまで言ってないよ。
でもそんな感じです。 言ってみればブッチャケそういう事です。
流石の斎藤も、そんな風にはっきり言われちゃったら、その場に居辛いじゃないっすか。 
立ち上がるまでのチョッとした間が、彼の心の中のショックやら葛藤やらを感じて同情。
いいよいいよ、よしよしこっちにおいで、そんなおじちゃん放っとけ、 そんな風に言いたくもなるってもんです。
が、プチ傷ついたかもしれない斎藤に、追い討ちをかける龍馬の言葉。
「新選組におった斎藤一と言うたら、名高る人斬りじゃき。 今まで一体何人殺したぜよ。」
”おった”、と過去形な言葉に、ああ、今はひとり御陵衛士で密偵なんだなあ、と 斎藤の孤独さに気付いてみたり。
しかし余りにストレートかつキツイ質問ですなあ。  刀を腰に差しつつ
「イチイチ数えてない」
振り向かず面倒くさそうに答える斎藤。
「おまんによう似とる男を知っちゅう。。。 以蔵に似てないかぇ」
と、龍馬に振られた慎ちゃんも斎藤を見てニヤリと笑い
「。。確かに。 どことのう、似ぃちゅう。」
なんだか何気に二人の酒のツマミになっちゃってるよ斎藤。。
突然振られたそっくりさんの話題、流石に気になっちゃってた斎藤さん、思わず反応。
「いぞう。。。。。?」
どこがどう何がどう似てるのか。 不安そうに呟き振り向いちゃってますよ。。
「聞いたことあるろ? 土佐の人斬り、岡田以蔵じゃきに。 ワシはそいつをずっと見てきたき。
ほんで人斬りのことは大体わかる。 初めの2、3人は夢中で斬る。 それから段々何とも思わんようになる。
それが過ぎると、斬ったやつらの想いが心の中に織のように溜まって、 斬るがが段々怖ぁなってくる。

まるで心を見透かしたような龍馬の言葉を聞きながら、徐々に曇って行く斎藤の顔。
「おんしは今、どの辺ぜよ。」
どの辺。 そう聞かれた時の斎藤の表情は自分の心の中に入り込んしまってるよ。。。
  例の夢を思い出したり斬った相手の顔が浮かんだりしたんだろうなあ。
心の奥の奥の暗い部分を突付くなあ、龍馬。 羊達の沈黙のレクター思い出したさ。
一瞬、その顔に戸惑いが浮かんだものの、 我に返り、思考を無理矢理シャットアウトするように一言。
「教える義理はない。」
「それもそうぜよ。」
自分でその話題にピリオド打って出て行こうとしたのに、やっぱりどーしてもどーしてーも 気になっちゃう事がひとつ。。 ふと振り返り 思わず聞き返しちゃうんですなあ。。
「。。。その先はどうなる」
「先は以蔵も知らん。。 首切られて死んでしもうたきに。」
きかなきゃよかったーーーー!!
後悔先に立たず。
見てはいけない未来を映す鏡を覗き込んでしまったような。

思わず一瞬固まった斎藤。 ちょっと潤んで泳ぐ目に戸惑いがばっちり見て取れます。  ええ、無表情なようで、実はわかりやすい斎藤なんだなあ。。。。  言葉を失い、そのまま襖を閉じ、憂鬱な気分のまま部屋を出て行く斎藤。
アレレ、伊東先生に言いつけられた任務は。。。?
以蔵の話が出なかったら、部屋は出て行っても、伊東先生の言いつけを守って、 影からでも龍馬の護衛のために目を光らせる事くらい、義理堅い斎藤ならしそうなもんなのに、 それがすっかりズバリビンゴの龍馬の心の分析に流石に動揺したのか、 ずんずん近江屋を後にして去っていく斎藤。 おーい。。
。。。。後でどういいわけするのか、それが心配(汗)
んが、この龍馬の言葉は、別に斎藤を傷つけるために発せられたわけではなく、 斎藤自身も、はっきりこれがどういうものかわからないけど フツフツと溜まっていた気持ちの奥の暗い部分を、ずばり分析してくれたわけで。  ある意味、、誰も分かるワケがないという斎藤の気持ちを代弁してくれた、みたいな。   占いのオジサンにOLが並んでたりするのって、未来を知りたいと言うより 今の自分を誰かにわかって欲しいと言う気持ちがあるからだと思うけど、そんな感じ? 。。。って丸の内OLと一緒にすんな? いやいや喩え喩え。  何も感じずに人斬り続けてるんじゃないってのをさ、誰かがわかってくれてるだけで。
だからって斎藤が救われるワケじゃないけどもネ。
それに、以蔵は信頼していた人に裏切られて死んだらしいけど、 少なくとも斎藤の ”前の” ご主人の近藤局長は、決して人を裏切ることはないっす。  それだけは間違いないし!
だからさあ、早く近藤さんの元に帰ってほしいっすよ。。。。
。。とか言いつつ今の主人はあくまで伊東先生。  その言いつけを、いくら龍馬に言われたからって任務放棄、 結果龍馬は暗殺されてしまったからにゃー。。
ああ、心配。 斎藤の今後が激しく心配。
”おれのせいだ。。”  て、また悩んじゃうのか、すこぶる心配。  誰か斎藤の心のケアをしてやってくれんかのう。

さて今週も  『呼ばれもしないのに大活躍』(笑) な捨助ですが。
佐々木に頼まれて龍馬の居場所こっそり探っていたかと思ったら、 民主主義投票で誰でも総裁になれる、という龍馬のメリケン流政治の話を耳にした途端、 黙っておれずに飛び出す捨。 素直というかバカというか。
つかどうよ、捨が作る日本て。。?
「呼ばれてないのにやってくるのが捨助でございますよ!」
威勢良く定番セリフをキメたはいいが、前回龍馬を裏切ったことはバレバレで、飛んで火にいる捨助、 ちょっと問い詰められたらあっさり佐々木から頼まれたと自白、 見逃す代わりにこっちの情報も見逃せと龍馬に言われて  「はい!」 と素直に了解、返事だけはいい!  。。ま、返事だけいい奴ってのは信用できないもんですが。
その調子のよい返事を信じる龍馬に不安を隠せない平助に
「人は信じる事から初めんといかん。 国を動かすにしてもそうぜよ。  まずは相手を信じる。 それからじゃき。
それで裏切られたときは、自分に見る目がなかったという事ぜよ。」
スバラシイ。。 人生のメモに記しておきますとも、この言葉。  捨助まで信じるとは、海の様に心の広い男じゃき。
が、そうは言っても長いものに巻かれるのが得意な捨助、 佐々木に追及されたらまたポロっと漏らしちゃんじゃないの? などと 疑っていたものの、結局は佐々木に龍馬の居場所がバレちゃったけど、 捨としては背中を斬られそうになりつつも 龍馬との約束をちゃんと守ろうとしたばかりか、 佐々木が龍馬暗殺に動き出した事を今度はかっちゃんに知らせて 助けを求めているあたり、それなりに義理堅いんだよねえ、疑ってゴメン。。。 いいじゃん、捨。
ま、自衛の本能かもしれないけど、いやいや、
「坂本を助けてやってくれ」 という言葉には嘘偽りはなさそうだし。
「よく知らせてくれた!」  そう力強く近藤に言われて、物凄く嬉しそうに顔崩してさ、
「初めてかっちゃんに誉められたよ。。。」
なんて、本当は、本当にモノ凄くかっちゃんが好きなんだね、捨。  新選組に入りたがっていたのも、かっちゃんの傍にいたかっただけなんだろうなあ。  土方と同じくらい、かっちゃんを好きなんだろうなあ。。

所が。 よく知らせてくれた。 と龍馬暗殺の情報を得た局長と副長の言葉の意味が実は間逆。
お尋ね者で、幕臣の中にも斬ろうと思っている人が沢山いるらしい龍馬ですから、
「見廻組の野郎に手柄を独り占めされてはたまんねえからな」
と、自分等も龍馬の首を狙いに行こうとする土方、ま、これ当然の思考ではございますが、
「俺達は坂本さんを救いに行くんだ」
ナヌー。 もしもし近藤さんナンデスとー?  しかしこれが三谷新選組なんだよネ。
史実研究家も歴史ファンもひっくり返る、これが三谷ドラマの面白さでございます。
初回から龍馬と近藤を会わせてみたり、数々の歴史の隙間への挑戦に、ありえねー!などと、 あちこちから突っ込みされつつも、がんばって己の新選組を描いてきた三谷さん。
が、流石に今回は、暗殺者がいまだ諸説あるとはいえ、チャレンジャーなこの展開に、
「おかしいだろ!!新選組が坂本龍馬救うなんて!!!」
と、土方副長にテレビの前のお厳しい方々の言葉を代表して、 セルフ突っ込みしちゃったてか?!! 
やられる前にやる! 言われる前に言っとく!  転ばぬ先の杖!  わかってるけど、やっちゃうよ!?みたいな。
いやこれ、もう土方が突っ込みしちゃったから、文句言うのはばかれますもん。 やるな、三谷さん。 流石っすね。
ま、そんなツッコミして不満そうな顔をしつつも土方、 原田と永倉をそっと派遣して一応龍馬を守ろうとするんだけども。。。。

結果は、史実までは、変えられなかった。。。という事ですなあ。
龍馬暗殺の場面は迫力あったけどあっという間で それが帰ってリアルで悲しかったな。
新しい事を次々と発想して、日本を動かしてきた龍馬、その脳がばっくりやられちゃったのが 皮肉というか。
薄れて行く視界にぼやけてうつる地球儀が又切ないわ。。 けど、江口龍馬の死に顔は、悔しさに歪んでなく、穏やかなのが せめてもの救い。
で、やっぱり中岡慎ちゃんの顔、好きだったなあ。。。
は。 そういえば、これって結局、 捨が約束守らなかった。。。。って龍馬には思われちゃったのかなあ。
いや、もうそんな事はどうでもよくて、捨の顔なんか浮かばなかっただろうけども。。

最後に 【今週の気になるコンビ】 周平と鍬次郎。
観柳斎の暗殺も手がけた、人斬り鍬次郎、だのと言われることもある凶暴な大石鍬次郎。
周平をムカツクムカツク、とイジメつつも、そのいじめ方は、どっちかっていうと 構って欲しい苛め方だよねえ。
しるこ食ってる所を後ろから ”棒で” つつくって(笑)
散々今までも周平を事ある毎にイジメていた鍬次郎だけど、 何かしら放って置けないもんがあるから構うんだろなあ。
これを 『ジャイアンとノビタの関係』 と言います。  ま、今思いついただけなんですけど。
普段のテレビやマンガの中では典型的な、いじめっ子といじめられッ子の関係だけど、 これがいざ映画となると、突然涙を誘うような友情を発揮するという。  何せ、大人の為のオールナイト上映もあるくらいですからなあ、どら●もん。
もちろんもう周平はノビタな周平ではございません。  10日間のがっつり英才教育で見事、鍬次郎に勝った周平。 
一斉に周平を愛してる兄さん達に囲まれて、満足かつ幸せそうな周平と比べて、 取り残された鍬次郎がチョッピリ可愛そうに見えちゃったけど、もはや剣術は互角となった 周平と鍬次郎の、今後の変化が楽しみでございます。
映画ドラ●えもん、な展開は、、あるかな? まあ仲良く喧嘩しな、て事で。

そしてそのスペシャル英才教育の先生である総司は、 ついにみんなの前で吐血しちゃったね。。。  周平に文字通り命をかけて必死で剣術を教える姿や、強がっているけど土方には  「息があがってる」 と言われてしまって言葉を失ったり、 最近の殺伐とした投げやりにも思える総司の言葉の裏の、 何かを残したいという気持ちがそこに現れてて、なんとも健気で見てて胸が痛くなりましたなぁ。。 そして 「半年は寝床からださせるな」  と先生に怒られていたけども、  ”半年”、この時間、総司だけじゃなく、新選組にも実は告知された残りの命だと思うと、 また辛くなるのでございます。

さて次回はついに油小路。。。やだなあ。 見たくないなあ。
つか、残されたもはや一桁分の数話、どれもこれも辛いエピしかないじゃないすか。
『寺田屋騒動』みたいなノリがまた見たいなあ。 無理だろうけど。
せめて斎藤の美味しい場面を期待しつつ。(結局ソコなんか)


                                                  二〇〇四年 十月二十四日放送 



■ 其の三十一 第四十三話 『あなどるな。』 ■
先週に引き続き、会合に出席した甲子太郎と平助ですが、 甲子太郎、話を聞いてもらえないどころか
名前も聞いて貰えず、ていうか意地悪な岩倉公に馬鹿にされ。。
いつも背筋伸ばして自信に満ちている人がションボリしちゃってるのを 観るのは寂しすぎるわあ。。。
そんな伊東先生をみて、かつて、当の伊東先生に名前を覚えて貰えなかった経験をもつ 平助はどう思ったんかな。。。
今回はそれぞれが、辛い思いの、四十三話でございます。  つか観てる方も辛いぞ。

尊攘会合の席で岩倉公に無視されてしまったものの、 大久保に自らの 『大開国論』 を認めてもらい、ホッと気を緩めた所に、 新選組に居たという事がまずいなー、近藤勇を斬ったら認めてアゲルよん、、と迫られた伊東先生。
ならば、と伊東先生の一言、
「斎藤くんを呼んでくれ」
突然呼ばれて焦るですよ、いや、私が呼ばれたわけではないけども、心の準備と言うモノが。。 出番、早ッ。。
「手筈はこうだ。 まず近藤に書状を送り、新撰組に戻りたいと訴える。 
取り決めにより、御陵衛士から新撰組に戻る事は出来ない事になっておる故、
密かに会って話したいと持ちかけ、近藤を1人で呼び出す。   。。やってくれるね? 斎藤君。」
カツゼツよい声の伊東先生のお話を聞いている斎藤、左手はつんつんと畳を弄ってるし、 目は泳ぐし、口は尖がってるし、どう見ても、 明らかにイヤイヤ聞いてるのがアリアリ。
そんな態度ではモロバレではないか、斎藤。
つかバレてるんだろうな、どーせ。
やってくれるね? って言われたって、お返事ないしね。  面白くなさそ〜〜〜に小さく小さく頷いてるような、、頷いてないような、、 そんな曖昧な動きと曖昧な表情をするだけだしね。
ハッキリしない斎藤に、しょーがないな、と追い討ちをかける伊東先生。
「同士達の間には、君が新撰組の間者ではないかと言う声が、未だに聞こえてくる。
この辺で、疑いを晴らしておきたまえ」
大久保に疑われ言われたことをそのまま斎藤に下ろしてきたような伊東先生のセリフでございます。
そうまで言われちゃったら勿論斎藤もノーとは言えないわけで、ここはひとまず。
「承知」

って声ひっくり返ってるし? 目、潤んじゃってるし?
だいじょうび??? だいじょうびか、一ちゃん。。。
さらに、
「斎藤君だけでは心もとない。 誰か付けたほうが良いのでは。」
心もとない、という加納の言葉は、斎藤だけでは力不足というより 斎藤を信用してない、、という事なんでしょうが、 その言葉をうけじっと斎藤を見る伊東先生に、余裕のニヤリな微笑みで
「あなどるな。」
などと言い放ってみた斎藤ですが、余裕で笑ったつもりが、
何だか必死感バリバリ。  目、、、潤んでるってば。
なんつーか、、、あんた、気持ちまっすぐ表に出すぎ。 何て不器用な密偵さん。。 愛しい。。(笑)
結局
「篠原を呼んできなさい。」
と、伊東先生。 ええ、バレバレですもん。
せっかく 「あなどるな」 なんてキメてみたのに無視かよ! みたいな。
なんか空振りしちゃった? もしかしてすっかり疑われてるのかよ、俺、みたいな顔して 伊東先生を見つめる斎藤。。。とっとと逃げ時かもしれません。

て事で、斎藤に事情を聞いてそりゃ驚くわな、平助。
「近藤さんを?」
「伊藤さんは新撰組をつぶす気でいる。」
「伊藤先生に言って、考えを改めてもらいます!」
という平助の腕を掴んで制し
「もう遅い」
「斎藤さんは近藤先生を斬るおつもりですか?」
あれやこれやの裏事情やら思惑が絡みまくっているのは気付いてない、純粋な平助。
まるで疑う事なく斎藤も今は御陵衛士の一員だと思い込んでるのね。
そこで伝えられる、(平助にとって)衝撃の新事実。
「お前だけには言っとく。 俺は土方さんに言われて御陵衛士に加わった。」
ごーん。。。。(大事な場面に鳴る鐘の音。)
斎藤の口から本当のことを聞かされた平助、静かに目を閉じ
「。。。。噂は本当だったんですね。。。」
ま、噂って言うか、御陵の誰から見ても、斎藤は浮きまくっていたのでしょうなあ。。。
”なんだかアイツ、いつも何もしないで彫り物ばかりして、 新撰組でもあんなんでメシ食ってたのかよ、ていうかあれで組長務めてたのかよ、”って、、 いやそうじゃなく。
無理矢理納得するとすれば、伊東が用心棒の為に、新選組一腕が立つ斎藤を引き抜いたとも 思おうと思えば思えるところでございますが。。。
「俺はここを出てそのまま戻らない。 お前も来い。」
密偵として御陵に入ったあなたと、平助の立場は違うのでございますから、そんな気軽に申されても、斎藤さん。。
「出来ません。。」
苦渋の表情で呟く平助に、
「お前を守るよう、土方さんに言われた。」
御陵に入るよう土方さんに言われて、平助を守るよう土方さんに言われて。。
斎藤、ほんっとに言われたように働く見事な忠犬ぷり。
近藤香取くんも某コラムで書いていたけども、 (島田、斎藤、山崎は他と違う絶対の信頼感があるとかナントカ) 
この絶対裏切らない感 は実にイイ。  いーんだけども、平助を守るという使命に関しても、言われたから、言われたから、 と、しかもちょっともう、投げやりな言い方、どうよ。  こういう面倒な事が苦手な、そんな不器用さが漂っております。  そして平助の事情は、密偵も辞さない『誠』、もとい近藤一筋の斎藤と同じわけもなく。。
「伊藤先生を裏切るわけにはいかない! 
。。。そして、本当のことを知ってしまった以上、 斎藤さんを行かせるわけにはいかない。」
そう言って、刀を斎藤に向ける平助。  平助はもう、新撰組の平助じゃないんだよね。
  それは斎藤や土方だけじゃなく、皆が最後まで勘違いしつづけていた事なのだろうけども。
しかし、平助が決死の覚悟で刀を抜いても、斎藤ってばぴくりともせず、 ただ唖然とその姿を見つめるだけ。。。 
平助には申し訳ないけど、その刀に身の危険を感じてる風は全く無い。  ただ、自分に刃を向けた平助に驚きつつ、やっかいな事になったなあ。。と思う斎藤なんだろうなあ。

。。。ところで今週はセリフ多くない?! と、ちょっと嬉しかったり。

さて平助対斎藤の一方で、斎藤からの手紙を受け取った近藤。  この手紙には、伊東が近藤を斬ろうとしている、との旨も書いてあったんだろうけど、 既に御陵衛士内部では間者かと疑われていた斎藤、手紙一つもチェックが入りそうなもんだけど。  それとも近藤←→斎藤にしか分からない秘密の暗号があるのかしらん。  そう例えばワンコ語みたいな。    。。。んなもんナイって。
兎に角、密偵送った近藤、その密偵を使って近藤を暗殺しようとする伊東、 もうどっちもどっちの展開です。

勇ましく刀を抜いてキメた筈だったのに、はっと気がつくと 縛られて納屋だか倉庫だかの奥に突っ込まれちゃってるし、平助。 情けなくもがく平助。。  悪いけどやっぱりこういうちょっとヌケた平助が可愛くて 好きだなあ。
しかし斎藤、その縛り方なんつーかメチャクチャすぎ(笑)
とりあえずグリグリ縛り付ける斎藤の図が目に浮かんで思わずにやけてしまいますだ。

て事で、平助は諦め、一応表向き近藤を斬る為に出かけた斎藤。  その後ろにピタりとついてくる篠原。  角を曲がったところで足を止め、くるりと振り向き篠原を見、 一応一息置きつつも、刀はスラリと躊躇せず抜く斎藤。
「やはりそうであったか。」
驚きと同時に納得、といった感じに刀を抜く篠原を、じっと見詰める斎藤、 暫く人を斬る事に戸惑いも見せていたものの、今回ばかりは斬る気満々な目付きでございますよ、つか 斬らないと逃げられませんからなあ。。  久々に殺気漂うきりっとした、釣り気味の目で、 男前度アップでございます。
まともな殺陣も久しぶりかも。  篠原も中々のツワモノのようで、斎藤と刀交えても引けを取らず、 二度三度と鍔迫り合いですよ。 斎藤のこういう鍔迫り合いの姿って珍しい、 つか初めて見るかもです。
それにしても、篠原は結構背もあるし、斎藤より一回りも二回りも体のサイズが大きい。  そんな大きな篠原に向かって行く斎藤の姿が、かなりツボ。  鍔迫り合いで押されてズザーと少し足が滑っていっても、負けじと向かって行く マメ柴犬の様な、その姿。  だって篠原の胸だよ、斎藤の頭。 つか斎藤の頭、篠原の胸の場所ですよ。 繰り返してみたり。  ええ、剣術に背丈は関係ないかもしれないけども、ガタイのいい篠原に、小さい斎藤が ガウガウと向かって行く様がカッコよくてなあ。。。 ついにはグイグイと押して追い詰める斎藤ですよ。
【。。って、ココ、なんかフィルム早回し風な処理してるね?  ちょっと余計かも… 撮影をスタパで見たけど、そのままでも十分 迫力あってカッコよかったんだけどなあ…】
押されまくってヤバ!てな表情の篠原に対して、若干余裕の笑みすら浮かべた斎藤、しかしそこに、 篠原の援護が。 しかも3人。
ずるい!ずるいよ、3人も。
せっかく追い詰めた篠原どころじゃなく、今度は追加3人も相手せにゃならん斎藤さん。  いや、かつて10人以上相手にした斎藤だもん、大丈夫! と余裕で観ていたんだけど、 チンピラ雑魚とは質が違ったようで。。。  とりあえず向かってきた一人、二人の刀をなぎ払って進むものの、 3人目と鍔迫り合いで動きが固まった所に、篠原の一太刀が斎藤の右腕に!  思わず右腕を投げ出しつつ、左手で刀を握ったまま、 鍔迫り合いの相手を ウリャッと思い切り蹴り飛ばし!
このヤケクソなワイルドさがステキです。  もう、型とか関係なく、必死な感じが、ものごっつ好き。 
さらにとりあえず左手で握った刀をぶんっと大きく振り回しけん制しつつ、 とりあえず一歩下がる斎藤。
刀を持った手で、斬られた右腕の傷口を押さえ、、ず、 手は肩口に。 傷アピール。 な、ワケではなく、傷口押さえても痛いだけですもんね、 きっとあれだ、止血だ止血。。。。って一瞬の事に突っ込むな? 。。ですな。
とにかく、大ピンチ。 もう激ピンチ。
あ、気がつけばこのシーン、左利き斎藤じゃないですか!
。。。見た目だけ。
そんな事よりも! いかんいかん。 斬られた動揺でどうでもいい事が目に付いちゃっていかん。
左手に持った刀を前に突き出し、壁を背中に、追い詰められて行く斎藤。
大激ピンチ!!
助けてー!! 近藤さーん!!
と、心で呼んだか知らないけど、そこに永倉新八登場ですよ。 
かっこいいぞ永倉! ヒーロー永倉!
一斉に斬り合い乱闘。 はっきり数がわからないけど、どうやらピッタリ4対4?  お陰でひとりあぶれた斎藤、物陰で肩を押さえつつコッソリヒッソリ 見つめてる姿がちょっとカワイラシイ。  いくら斎藤でも、利き腕が斬られちゃね。
永倉の 「にげろ!」 の渋い目配せを受けて、すたこらさっさと逃げる一ちゃん。 逃げるのも大事。。。
つか気がつけば今回も斎藤は人を斬らずに済んじゃったすね。  このまま人斬り記録は止まったままになるのかしらん。 いや、そんなん止まってていいんだけども。

そしてやっと戻ってきたよ、新選組に。  ウェルカムバックホーム。 ホームスィートホーム。  やっぱ我が家が落ち着くってもんでしょう、斎藤さん。。 大きな赤い誠の旗の下、ここが斎藤の居場所ですもん。
近藤さんを前に、横に土方、源さん、永倉、左之助、手前に斎藤の後姿。 その後姿がまた、、かわい(大概しつこいので以下略)
腕の傷はとりあえず応急処置されて包帯ぐるぐる。  まだ痛むのだろうなあ、包帯越しに傷口を押さえつつ、黙って話を聞く斎藤。
後姿は蹴り飛ばしたくなるほど(当然愛情表現)コンチクショーな可愛さですが、 前にカメラ回ると斎藤さん、目つきかなり鋭く神妙な顔つきで、色気も少々。  後姿可愛く、前姿色っぽい。 
一粒で二度美味しい斎藤。
「こうなったら高台寺の裏手から鉄砲を討ち掛け、怯んだところを正面から斬り込む。  間違いなく勝てる」
鼻息荒くいつもの調子の土方だけども、近藤さんは落ち着き払って一言
「いや、ここは様子を見よう」
「向こうはアンタを殺そうとしてるんだぞ?」
「真っ向からぶつかれば戦になる。 京の町でそれは出来ん。」
頷く源さん、永倉も、斎藤も、あの左之助もめずらしくウンウンと頷く。
「局長の言う通りかもしれん。ここは耐えるのが筋だ。」
こういう時にサクッとスマートな案を出せる人が今はいない新選組、 戦を避けるにはとりあえず動かない、というのが一番と言う事かしらん。
そんなちょっと大人しい一同に、
「皆さんご立派な方々ばかりで。」
と、ポニーを跳ね除け、ひとり燻る土方なんですなあ。。。

斎藤を密偵で送り込んだ新選組だったけど、 結局その斎藤を使って近藤を暗殺しようとした伊東サイドの本音が新選組にバレ、 どっちが悪いとかどっちが正論とか、そういう次元じゃなくなってるんだよねえ。
新選組の小説等だと悪役になりがちな伊東甲子太郎も、 今週の冒頭で屈辱的な仕打ちを受けつつも、めげずに日本の未来を本気で想い、 近藤暗殺も最終的には一対一で自ら挑む辺り、真面目というか、彼も馬鹿正直というか。
ほんっと、このドラマってば、少々うさんくさかろうが、あやしかろうが、嫌な奴であろうが、 皆なにげに魅力的に描かれていくのだなあ。  で、あ、いいやつだ、と思わせて落とす!  。。。三谷さんはサドだと思うよ。 んとに。
そんなわけで、一話の中で重要な人物が二人もいなくなる今回は非常に辛いっすね。。
今回命を落とす、愛すべき二人を追悼しつつ。

◆ さよなら伊東甲子太郎先生。 ◆
今回は二つの山場がありますなあ。 いや、斎藤ファンとしては勿論、 前半の 『あやうし斎藤危機一髪!』 も大きな山場ではございますが、 まあ一応それは置いといて。
一つは伊東先生暗殺。
伊東と近藤のシーンは静かでありながら、迫力あったす。
つか、今週は近藤が良かった。 香取近藤、ただよう空気さえ”近藤”だったなあ。
伊東の書面を持ってきた平助に、かつての仲間の組の連中が皆揃って 「戻って来い」  と心配しているところで、近藤だけは
「お前をこれ以上辛い立場に立たせるわけにはいかない。  この度の一件は出来るだけ穏便に済ませるつもりだ」
と、伊東に付いていった平助の気持ちがちゃんとわかってるんだよね。  一番平助が安心する言葉。
こんな風に、何も言わなくても人の気持ちが分かる近藤さんだから、 平助も着いてきたんだよなあ。。。
とにかく今回の近藤、言葉も態度も顔つきも非常に頼もしい。

で、伊東先生とのタイマン勝負(笑)のシーンですよ。
前回、丸め込まれたと分って丸め込まれた近藤を、 上手い事丸め込んだと思い込んでいた伊東先生、
って、ああヤヤコシイ、 兎に角今回も、自分の方が一枚上手だと信じて疑わない伊東先生は、さらっと また愚鈍な近藤を言葉で誤魔化し通せると思っていたんでしょうな。
涼しい顔で、今回の斎藤の一件は行き違いだった、斎藤に近藤暗殺を命じたのは 斎藤が間者だと見抜いて彼を試そうとしただけで、本気で近藤の命を狙っているわけでは ありません、、、と。
黙っている近藤に、すっかりまた丸め込み成功だと思ったのでしょうなあ、
「おわかり、いただけたでしょうか。」
等と既に勝ち誇ったような顔で言った伊東に、近藤の一言。
「伊東先生。。。それは、、いけませんなあ。。。」
うわーー。。私、この時ゾワワと鳥肌が立ちましたでございますよ。 
香取近藤くんのセリフと顔で、今までで一番来ました。 かっこいいなあ、渋いなあ、、、近藤先生。 
顔色変えずに返したこの一言、既に伊東を飲み込んだと言えましょうな。

思わぬ一言に、また一枚決め手カードを出さざるを得ない状態になった伊東先生。
「わかりました、では本当のことを申し上げましょう」
などと、奥の手の ”ぶっちゃけ” 作戦に切り替え、 近藤を刺す機会を探りつつ、立ったり座ったりとせわしない伊東に対して、 どっしり座って真直ぐ前を見据えたまま、顔色も変えずに話す近藤。  大きい。。。なんて大きく見えるんだ今夜の近藤さん。 
最終的には伊東もその近藤の言葉にまるめこまれ、、、
いやいや、近藤の器の大きさに包まれたと言った方がいいのかな。
近藤にひたすら付いて行く連中がいる理由が、やっと伊東に理解できた瞬間。
いや、今までも物語的に近藤は充分魅力的ではありましたが、 回りがやたらと称える「近藤さんはスゴイ」という言葉に 時に本人そっちのけ、な物足りなさと違和感すら感じていたのも正直なところでございましたが、 んが、今回の、近藤の言葉と存在感に、 やっと納得でございます。

いやしかし、近藤と伊東がこうやって気持ちを通わせる展開になるとは。
このまま二人が袂を分かちつつも、生きていったら、 何か変わったかなあ、などと、 たら、れば、の想像の世界を直前まで見せてくれつつ、 最期はやっぱり歴史はこうなっちゃってるんだよ、と落としてくれちゃう三谷さん。 いや、これがNHKじゃなかったら、「たられば」の先を書いてくれたんだろうけどなあ。

で、近藤と初めて心を通わす事が出来た伊東先生。
事情を知らずに暗殺へと先走る、大石鍬次郎等新選組の若者連中に囲まれて一喝、
「愚か者! 近藤先生のお心を無駄にするな!!」
今まで見下していた近藤に、甲子太郎、本心から初めて尊敬した言葉だったのに、 その言葉は鍬次郎らには届かなかったんだなあ。  つか、伊東先生を1人で帰さなきゃ良かったのに。 結局、いつも、最期のツメが甘い。  そのツメの甘さが全て台無しにしちゃうのね。
短刀を潜ませ命を狙う伊東に、命がけで話し合いをして説得したのに。
まあでも、結局は、近藤がいくらトップで頑張って話を付けても、 その事実が下まで行き届いてないのも、、いつもどうかと思いつつ。 大きな組織をまとめるのは、ホント、大変ですよ。。。

◆ そうするしかなかった…かもしれない、平助 ◆
で、ついに油小路の戦になっちゃうわけですよ。
平助の最期は本当辛いけど、でも、平助にはこれが逃れられない結末だったのかもしれないっす。
勿論、戦いにならずに、離れていても生きていけたら一番いいんだけども、 伊東が近藤と理解しあった事も結局誰にも知られる事がなく、 伊東が暗殺されてしまった今となっては。
『平助だけは助けろ、殺すな』  それが土方近藤の想いだったとしても、『誠』の旗に”命を掛けていた”新選組と同じように、 伊東甲子太郎の元に居場所を戻して行った平助は、今は御陵衛士として命を掛けているわけで。 
御陵衛士の先輩達が命がけで戦っている中、 左之助に 「逃げろ」 と、戦いの輪からひとりだけ押し出されてもさ。  そこで”助かった”なんて思って、ぼーっと観ているか、逃げるか、 そんな事が出来る平助だったら、今まであれこれ悩む平助である必要が無かった筈だもんね。
いつも、自分が必要とされる場所にいたい、必要とされる人間でいたいと、自分の存在に 思い悩んでいた平助。
  最初の頃は名前も覚えてもらえなかった伊藤先生に付ける身になって、名前もちゃんと今は呼んでもらえて、 しかも一緒に大事な会合にも連れて行ってもらえる存在になった事が、平助にはとても嬉しくて、 誇りだったんだろうなあ。。
もう、新撰組の平助じゃなくて、御陵衛士の平助だったのに、 沖田が言う様に、まだまだ皆は、 いつまでも自分達の後に着いてくるかわいい弟分って気持ちが抜けずに、 自分達さえ斬らなければ、見逃してやれば、平助は生き延びられて、それが一番だと考えていた元仲間達。
が、逃げるどころか、新選組に向かって決死の形相で斬り進んでくる平助に、
「お前を切ることはできん」  と戸惑う。  気持ちは痛い程わかるけど、それって平助を御陵衛士のひとりとして認めてないと言う ことにもなるわけで。。
最期の手段で、いくら逃げろと言っても向かってくる平助を気絶させ、とりあえずこの場を凌ごうとした永倉。
けどもしそれで生き延びたとしても、平助はずうっとこの日のことを後悔して悩みそう。  どっちつかずの位置で戦って見逃して貰って生き延びた事を誇りに思えるわけがないよ。。。
いや、もちろん若い命だもの、いくらでもやり直しが利くとは言ってもね、 命をかけた瞬間に、今後何十年の事なんて、頭に浮かぶわけもない気がするし。

御陵衛士として立派に戦い、だけど最期は、新撰組の近藤の胸の中で、
「これでよかったんですね。」
と呟く平助、相当この戦いでの葛藤は苦しかったんだろうなあ、と思いつつも、 最後は御陵衛士も新選組もなく、
”仲間だった”近藤達に見守られて死ぬ平助、 とても辛くて悲しかったけども、何だか、この立場におかれた平助には、
そうするしかなかったんだろうな、そうしたかったんだろうなあ、と、 だったら悔いはないだろうなあ、、と思うのでございます。

や、、、一番悔しいのは、、結局近藤達なんだろうけどもね。
こうならないように、手を尽くしたのに、、、最悪の結果になっちゃったんだもの。
「またひとり、逝ってしまった。。。」
源さんの言葉が重いよう。。  これからも何度もこの言葉が頭をよぎりそうです。。。。
新選組のドラマなら覚悟していたはずの数々の死だけど、こうトントンと死なれては(大汗)辛すぎる。
後半に、もってきすぎだ、三谷さん。

それにしても。
新撰組の斎藤としては大仕事、大エピソードの見せ場だったはずの密偵、実は楽しみにしてたのに、、
案外あっさりと終っちゃったような。
このまま見せ場がなくならないよね? なくならないよね??

                                         二〇〇四年 十月三十一日放送

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