■ 其の三十四 第四十六話 『新選組はアンタが作ったんだ。』 ■

先週の源さーん(涙)の鳥羽伏見敗戦から一週間。
はあ、なんとか立ち直りつつございますが、 何せもう残るは切ない展開ばかりの新選組でありますよ。
そして今回は更に大事な慣れ親しんだあの人やあの人や、、、、はあ。
などと溜息つきつつも、それでも話の端々に小さな和みなんかも見つけていこうじゃないですか、と、
46話、今回もダラダラいかせて頂きます、ハイハイ。

っていきなり佐々木様撃たれてるしなあっ!! 
まだタイトル前だよ、 生まれたての子供だよ(意味不明)、いきなりそうきますかそうですか。 
今回も重く辛く苦しい展開だから覚悟しとけ、と言う事でしょうか。。。きついなあ
それにしても、殺陣がお得意のはずなのに佐々木様@伊原さん、 結局この新選組ではその腕前をがっつり披露する事も殆ど無かったような。 。。。勿体無い。
まあでもどんな剣豪でも、銃弾の中に向かって行って勝てるハズないっすよ、って、
先週単身銃軍団の中へ向かっていった誰かさんがいたような。 
そしてどうやら傷一つ負わずに戻って来た模様でございますよ。  ってマジかい?! 
その運と、気迫を少しでも源さんに分けてあげたかったもんだ。
。。。斎藤おそるべし。

鳥羽伏見後。  隊士も戦いつかれてぐったりしちゃって、 味方してくれる他軍もいないし、ぽつんと放り投げ出されて置いてきぼり食らったような 浅葱色羽織軍団。  軍議中の輪に、源さんはいない。。。  近藤さんもいないし、小さくなった輪が寂しさ倍増だよ。  なんとも漂う心もとなさですが、まだまだ終らない!とかろうじて思わせるのは、 まだココで戦いたいと言う左之助らの根性と、土方の変わらぬ声の張りと眉間の皺かしらん。。。
とりあえずここは諦め大阪に引き近藤と合流する事にし、 自分はとりあえず一旦京に戻るという土方に、京は薩長だらけだから危険だと心配する島田。
「だから行くんだ。 屯所には薩長のヤツラの手に渡るとまずい物が色々残っている。  それを処分してくる。 
。。。斎藤、付き合え。」
「承知。」
「山崎、街道は目立つから避けたい。道案内を頼む。」
「喜んで」
この承知&喜んでコンビの斎藤と山崎、お供につけるにはこれ以上の二人はなさそう。
新選組忠犬トリオと言えば、斎藤島田山崎。 近藤香取くんも、この3人は無条件で信用できると言ってたっけネ。
土方桃太郎を先頭に、犬斎藤、キジ山崎、猿島田、、きびだんごナシでもついて行きますとも。。 
本当にこの人たちは女も作らず最後まで新選組に献身してました。
。。とか勝手に女がいないなどと言い放って失礼っ。   とりあえず山崎は女性と付き合っても中々顔覚えて貰えなかったりして?  普通に結婚したらいいお父さんになりそうだけど、子供に顔覚えてもら(以下略)。。。
いやいや、設定では地味で覚えられない顔と言う形になってますが、 実際山崎@桂さん、かなりの二枚目ですから。 フォローしておこ。
それにしても、こういう時に真っ先に指名してもらえる斎藤、 思えば土方には色々な事を頼りにされて来たもんです。。。  自分がイヤな事だろうが、辛い事だろうが、ほぼ素直に従い任務を遂行してきて、 その積み重ねが、自分の居場所を作り、土方の絶対の信頼を得ることになるんだなあ。

左之助と永倉も、大事な人に挨拶したいというから 結局京へ戻ることに。 
「ここから先は各々に任せる。 その代わりいいか。 死ぬなよ」
『死ぬなよ』の一言が、もうなんかもう切ない。 あっという間に、追われる身。  敵に向かって突き進んでいく新選組が、敵に追われて隠れ逃げる立場。  これがまあ歴史ってやつなんだろうけど、 この 『新選組!』 を最初から観て来て、愛着が湧いて、 後半に必ず訪れる展開なんて、想像できなかった、というより 、したくなかったんだけどなあ。。。気がつけば坂道転がり落ちる勢いで、 衰退の道をまっしぐら、、な新選組。。
  って一番信じられないのは本人達なんだろうけど。

大阪城でボロボロになりながらも 死ぬ間際まで徳川家への忠義一筋、幕府の勝利だけを 信じていた佐々木。
その最後の言葉を聞いている近藤も腕吊ってる状態だし、 何だかもう、幕府のおかかえ用心棒ってな見廻組も新選組も満身創痍。。。
未練を残しつつ、佐々木只三郎、戦死。。 合掌。
時に対立しつつも、佐々木の熱さは近藤と通じるものあったからなあ、 それこそ片腕失ったような痛みでございます。

■ 慶応4年(1868) 1月7日 京 ■

新選組屯所。  ついこの前までここで賑やかに組隊士達が走り回ったりしてたのになあ。。
がらんと寂しい庭で、焚き火に書類を放り込む土方と斎藤。  全ての書類を持って来た房吉に
「お前も八木さんの所へ戻っていいぞ。 長い間ご苦労だった。」
とひまを取らせる土方。
「御武運、お祈りしております。」
四面楚歌てな回りは敵だらけの今、こんな風に心配してくれる人が本当に嬉しいもんです。。
手にした書面をじっと見つめる斎藤に、ぐしゃぐしゃと 構わず破っては火に投げ込みつつ土方、
「尾形が書きとめていたんだ。 俺達が斬ったヤツラの名前まで、全部事細かに書いてある。  薩長の手に渡ったら、えらいことになるだろう。。。  俺は過ぎたことには関心がねえ。 こんなもの残して置いても、誰が喜ぶ。」
斎藤は何も聞いてないのに、自分にいい訳するように話す土方。
そういえば、私も言葉を話さぬ犬を相手に会話したっけナァ 。。。。それだ!(笑)
しかしソレって、山南さんが尾形に残した遺言でもあっただけに、 燃やしてしまうのがチョット寂しくもありますな。 
そうか。。と、納得したようにじっと見ていた束をボイっと火に投げ込む斎藤、 まあ元より斎藤には興味の無い書類の数々だとは思うけどネ。
そこである書類を懐にささっと隠す土方に気付きつつも、 ここはそっと見てみぬフリ、、と言うより、 聞く間もなく人の気配を感じ、素早く刀に手をかけ構える斎藤、 ええ、これが斎藤の役目ですから。
が、物陰から姿を現したのはかつて西本願寺でもお世話になった、西村様。 
何だ驚かしやがって、、、、てな顔して刀から手をはずし 腕を組む斎藤。 こういう時に、会話にでしゃばる事もせず、 ただ横に立ちつつ、何気に見守るような斎藤のキャラ的位置が結構ツボだったりするです。。
西村様が懐から餞別を出し渡そうとすると、少し躊躇する土方。
「言うたはずや。 私はどこの味方でもない。 面白い事が好きなだけや。  新選組の行く末。 しっかりと見届けさせてもらいます。」
確かに新選組って、唯一無二って感じの集団だったもんなあ。 
この西村兼文って人も、飄々としてて、なかなか現代風な人でした。  個人的にこの役者さんの顔も割と気に入ってたな。。 真横についたお猿のような耳が可愛い(笑)。
兎も角。 こんなふうに、ほんの少しでも、新選組を見守ってくれる人がいるのが心強い。。  と、西村様の心遣いにシミジミしているヒマも無く、 表に薩摩の兵がうろうろしてると山崎情報、 これは急がないとヤバイです。
そう思うと、あんな小さな火でチョロチョロ書類燃やして間に合うのかと心配に。  いっそ屯所ごと火でもつけて、騒ぎになってる隙に逃げるとか、って、 そりゃ京の町に火つけるなんて出来るわけもないっすね。 つかんな事したらそれこそ大罪だし。

納屋にとりあえず身を隠している3人ですが、もう回りは三角帽子がウロウロ、 勝ち誇ったようにうろつく薩摩兵隊だらけでございます。
影から顔半分だけ出して様子を伺っている斎藤達、 なんだかダンボールの捨て犬ぽくてちょっと可愛いなあ、、とか、、 言っているような場合じゃないっすよ。
「随分増えてきたな。。」
隠れていても兵の数は増えるばかり。 逃げ場を失った土方に、
「俺が斬り込む。 その間に。。。」
と、躊躇する事なく自ら囮になると言う斎藤。
「やめとけ。 無駄死にだ。」
そこで鳥羽伏見の斎藤再び!!。。。と言いたい所だけども、 あれは源さんの死によって得た悲しい奇跡のパワーだったものなあ。  悲しみと怒りのゲージがMAXにならないと発動されない力なのでございましょう。。
と、土方の背中をつつく棒。  すわ、薩摩の兵士の銃かと思っただろうなあ、土方。 
はっと振り返ると、でもそこには為三郎ちゃん。  シッ、と口に指を当て、
「父上に言われました。 こっちに。」
ああなんだか、もう為ちゃんが天使に見えますともさー。  心なしかちょっと大きくなったような気もするよ、為ちゃん。 
為ちゃんに誘導されつつ、裏道を歩く3人。 荷物も最小限でタスキ賭けした程度で、こそこそ裏道を歩く姿が 何だかやっぱり寂しいヨ。。。
ところで斎藤の笠ってば、真っ黒なんだねえ。 渋カッコイイな、黒い笠。  ちょっと悪者風ですが、なんだかアダルツ(笑)。  他の皆は普通の色なんだけど、斎藤のだけ 黒塗りで黒光りして特別仕様。  裏の仕事をしていた時に目立たぬように作ったモノなのかなあ?  小物にまで行き渡る斎藤テイストでございます。 

で、懐かしい八木家の皆さんがいるよ。 何だか家族に会ったような気持ちです。
抜け道を教えてもらい、頭を下げる土方。
「ワシ等が出来る事ゆうたら、それくらいどす。 房吉後は頼むで」
「道中、食べなはれ。」
「かたじけない」
雅さんに差し出された包みを、頭を下げつつ受け取る斎藤。
「災い転じて福となす、の、喩えもおます。 お気張りやす。」
もう本当に八木家の人達の言葉が嬉しい。 心に染み入ります。
「このご恩、決して忘れません。」
しかしこんな久々の懐かしい再会も、ゆっくり味わう時間もなく、ほんの少しの会話だけで 別れなければいけないのが辛いです。
房吉の後に急ぎ足で着いていきつつ、角を出るときには左右に眼を光らせる斎藤、 野生の目の色が戻ってきている感じがしますな。 それって喜んでいいのかしらん。
去って行く土方等を寂しそうに見送る雅さん、源之丞さん、そして為ちゃん。
「あれほど京の為に尽くしてくれはったのに。。。  こんな形で京を追われるやなんて。。。」
「あの人等、ナンカ悪い事したん?」
と、為ちゃん。 こういう素朴な問いが一番堪えますなあ。。。(涙)
そして源之丞さんの一言、
「なんもしてへん。 なーんも、してへん。。」
そう呟いてふっと空を見つめる眼にまた切なさこみ上げるのでございますよ。
良かれと思って真直ぐに突き進んできた新選組の若者達を見つめてきた八木家、 最初は文句たらたら迷惑顔だったのに、次第に心を通わせて、理解してくれるようになる 流れにじんときたもんです。
やんちゃな若者達、自分等の息子みたいに思ってくれてるのかな。。。 京を追われる新選組と関わりが深かった分、八木家の行く末も不安がある中、 それでも最後まで新選組を見捨てないでいてくれた新選組の家族。 。。って一人、いないのが気になりましたが、、、。

さて一方。   おまさちゃんと別れを告げる際に、何気に秦の国で山賊になると宣言してみたりする 左之助。 左之助の”その後”には戦死したって話と、海を渡って馬賊になったって 話とあるけど、とりあえずこの 『新選組!』 では、これでひっそり国内で死んだ事にはならないんだね、 とりあえずそれだけでもホッとしてみたりね。  こんなセリフで希望をもたせてくれる三谷さん、ありがとうって感じです。  (ついでにその後を映像で見せてくれると尚感謝なんだけどなあっ)

一方の永倉の方には悲しい結末が、、。  薩摩兵に殺されちゃった、おそのさん。。。合掌でございます。。
ああもう、どんどん皆亡くなっていく。。  しかも最後の言葉が永倉の名前じゃなくて、宇八郎ってのも、永倉、、最後まで 何だか辛い恋だったなあ。。。  怒りに任せて薩摩兵を切り捨てる永倉、
「新選組、二番組長、永倉新八!!」
もう二番も何番もない状態かもしれないっつのに、 きりりと名乗る永倉がカッコイイなあ、、と思いつつも、 虚しい剣にひしひし切なくなるのであります。


意気揚揚と旗を掲げ笑いながら行進して行く薩長兵を 隠れつつ見送る土方と斎藤。
「。。。何を持って来た。」
斎藤の方から話し掛けるってのは珍しい、、けどイキナリ。  普段おしゃべり慣れてないからか、こう、、話す順番というか 会話の順序ってものに無頓着、一番聞きたい事がまず飛び出す、 それが斎藤式トーク(笑)なんですなあ。
「一つだけ、、燃やさなかったやつがあるだろう。」
ずっと気になっていたんだね、斎藤。
「。。。良く見てるな。」
土方が懐から出した書類は、新選組の編成が記されたもの。  山南さんや、甲子太郎、観柳斎、源さんの名前がありますよ。。 懐かしいなあ。。  ほんの一時、一番蒼々たるメンバーがいた、黄金期。
「新選組の編成図だ。 三年前だな。 思えばあの頃、新選組は、一番羽振りが良かった。」
懐かしむような土方の言葉に、斎藤も威勢の良かった頃を思い出してるように 小さく微笑むけど、何だか寂しそうでもあります。。
「過ぎたことには感心がないって言ってた癖にな。」
そう言って照れくささと虚しさの混じったような苦笑いをし、斎藤から返された編成図を 破ろうとする土方に
「とっておけよ」
ボソっとつぶやく斎藤。
「新選組はアンタが作ったんだ。 とっておけ。」
。。。。って何気に命令口調ですが、最小限の言葉しか口にしない斎藤だけに、 こういう言葉はずしっときます。 
新選組のトップはもちろん近藤だけど、その裏で恨み買いつつ憎まれ役全て引き受けつつ、 それでも弱音なんぞ吐かずにつっぱってこの新選組を守ってきた土方を、 斎藤はずっとちゃんと見てきていたんだろうね。  それがわかっているからこそ、土方には黙ってついてこれるんだろうな、斎藤。
んでもって、余裕でタメ口なのも、そんなわけで気にしないことにしておこう。 
むしろ他の隊士とチョット違う位置にいるような斎藤を、この新選組のオダギリ斎藤で 楽しませてもらってますもん。
あくまで自分対土方であり、自分対近藤である、実は分かりやすく、そういうのが一番信用できたりするもんです。
とっとけ、と言われて、素直にまた懐にしまう土方も、可愛いですなあ。。

ほんの少しだけ、思い出に浸る和みの時間もここまで。
抜け道を調べてきた山崎が、隠れていた薩摩兵に顔を一太刀バッサリ。。。 ああああ、山崎があああ。。。。
とショックうけつつも、 逃げる薩摩兵を追う斎藤がメチャかっこいいんだよねえ。
先週のブチキレて叫び斬りまくる斎藤も凄かったけど、 今回のあっという間の殺陣、良かったなあ。
抜刀したまま坂を走り降り、薩摩兵が振り向き様  『ちぇすとおー!』 と叫び斬りかかる刃をギンッと刀で受け止めると同時に 既に刀はそのまま片手のみで相手の胴を真一文字に掻っ捌いてございます。
。。とか文章で説明してる間に数人斬っちゃう程の早さですよ。  その素早さたるや。
ギンッズバーッ!  。。。であります。
はやっ、めちゃ早い。
刀を刀で受けた時に、鍔迫り合いがあるかと思いきや、こんな雑魚兵にそんな時間は必要なし、とばかりに あっという間の流れるような一太刀。 うひゃあ、カッコイイ。。。
また斬った後の悔しさと憎しみが篭ったような一声が切なく胸にぐっと来るんですよ。。
ついでに、、ばさりと顔にかかったポニーがセクシイですよ。。
殺陣の少ない 『新選組!』 だったけど、 何だかんだ言って、斎藤は殺陣のシーンが結構多くて嬉しいなあ。 
それは色んな殺陣を見せてもらったもんです。
長い腕で刀を振り回すもんだから、見栄えは派手で、なおかつ早くてコンパクトな動き。
今回もまた、息をもつかせぬ瞬間芸な殺陣、思わず「かっけえ。。。」 と声がでちゃいましたよ。
。。。いやあ、ええもん見たわぁ。
。。。。(しばしボー。。。
。。。って、斎藤の剣裁きにウットリしてる場合じゃないよぅ!! 山崎がーっ!!

そんな深手を追った山崎にも満足の行く手当てをしてやる事すら出来ない敗走の身。。
「血は止まったようだな。。」
水を飲ませて心配そうに見る斎藤。  この負傷した山崎が、また泣かせるのだなあ。
「もうあきません、、、」
そう呟く山崎に
「そんな事はない!」
と励ます土方。 私もその山崎の一言は、生命の問題かと思ってたさ。
「顔をやられてしもた。。 観察やのに。  これでは顔を覚えられてしまう。。」
もう新選組もこんな状態だってのに、自分の命に関わるかもしれないのに、 監察という仕事が出来なくなる事を心配する山崎。  いや、確かに山崎にとって目立たぬ顔は命ではございました。  言ってみれば山崎の変装は近藤等の剣術と同じような、武器であったわけだからなぁ。  そのプロ根性、新選組の監察という仕事にかけた誇りに涙。。。
初めて組に面接に来た時に、他人の記憶に残らない平凡な顔を誇らしくアピールして、 その後も生き生きと色んな変装をこなしては、確実な情報を届け続けていた山崎。 
もういいのに。。。生き延びられさえすればいいのに、、と健気なセリフに涙でございます。

などとシンミリしたところに
「早く医者に見せた方がいいんじゃねえかあ?」
とノンキな大声、思わず刀を抜く斎藤。
が、ソコに現れたのは捨助なわけですが、山崎に気をとられていたとは言え、
声を出すまで斎藤に気付かれないとは、やはりタダモノではナイのかも、捨。
「呼ばれもしねえのに現れるのが、捨助様よ!」
何だかこういう時に捨のお馴染みのセリフ、 いつもならチョイとムカツクところですが、全てが変わってしまい、仲間が減って寂しい今だと、 変わらぬ言葉、変わらぬ捨助にほっとしたりしてねえ。
「土佐にも薩摩にも長州にも見回り組にも追われて、京には居場所がなくなっちまったから、 今は寺田屋の女将に頭を下げて、使いッ走りからやり直しよ」
「お前も数奇な運命たどってるな。。」
いやホント逞しい。 経験の豊富さは 『新選組!』 一番の捨助。
土方の腕の中で朦朧としている手負いの山崎をみて
「早く手当てした方がいいな。 死んじまうぞ。」
「町はどこに行っても薩長のヤツラで溢れてる。」
頼るところがもうない状態の新選組、まさか最後に頼れるのが、捨だったとは。
「寺田屋に来い。 俺が口きいてやる。  腐れ縁も、、縁に変わりはねえって話だ!」
なんていい奴なんだ! 捨助!
むかつくとか言ってゴメン!
うざいとか言ってゴメン!
ノンキとか言ってゴメン!
鬱陶しいとか言ってごめん!!!
今日の捨助は輝いて見えるよ。

それにしても今回は本当、様々な人に助けて貰ってるなあ。 数少ないけども、 こうやって手を差し伸べてくれる人達がまだ京にいるってのが嬉しいですよ。
そして寺田屋のお登勢さん。  体を張って匿ってくれてます。
「うちに駆け込んで来た方は、どなたはんでも匿いやす。  薩摩の方も、何度も匿いましたよって。」
そういわれちゃうと困っちゃう、薩摩兵。
「ご挨拶が遅れました。寺田屋の女将、登勢と申します。」
深々とお辞儀をし、顔をあげるときっと睨みつけ、
「お引取りを!」
薩摩の兵に一歩も引かず怯まず門前払い、お登勢さん、凛々しいわあ。
そんなやりとりに耳を澄ましながら、いつ薩摩兵が乗り込んできても いいように、障子の前で刀に手をかけ、息を殺して待機している斎藤。  神経研ぎ澄まし、ぴくりとも動かない姿が頼もしく、 めちゃくちゃ絵になってたなあ。 ポーズも決まりすぎてましたさ。 カッコよかったなぁ。。
斎藤はこういう時の 『静』 と、殺陣での 『動』 のギャップがいいんだよね。
またここで薩摩兵が乗り込んできて斎藤の殺陣だとかいったら美味しすぎて お腹一杯になりそうだー、もうどうしましょ、などチョット期待してたけど、 まあ、ここは何とか、お登勢さんの気転と勇気のお陰で、刀を抜かずに済んじゃったわけです。。。 あ、いやいや、ありがとう、お登勢さん。
なんだかんだありましたが、寺田屋には本当に色々世話になりました。。。

と、薩長はびこる京を、大勢、、という程でないのが寂しいけども、数名の人たちに 助けられつつ、何とか抜け出し大阪にたどり着いた新選組の面々。  悲喜こもごも越えた久しぶりの再会に喜んだのも一瞬。 
何せ、一寸先は闇状態ですから。
上様がとっとと江戸へ逃げてしまわれた今、空っぽの大阪城を守っても仕方ない、、ということで 江戸に帰ることにした、という近藤ですが。  今後の大事な話をしているはずのその場所に。 
モチロンいないともさ、斎藤さん。
まあ、何をどう決めようと、近藤土方に従う、と、そういう意思表示なのだと思っておこ。
最後まで気まぐれなヤツでございます。 捨助ですらこの場に登場したのになあ。。。
「捨助、歳から話は聞いた。 色々すまなかった。」
今までさんざ邪険にされてた捨だけど、 素直に謝られ感謝されて、上機嫌、その爽やかさは特筆物でございますよ。
「いいんだよ、そんなこたぁ。 じゃあ俺は失礼する。 アバヨッ!!」
あばよ! だもんなあ。
土方を助けた自信に満ち溢れ、近藤に感謝されて嬉しさ一杯で、 満面の笑顔で颯爽と去ろうとする捨。 
もしかして捨ってカッコイイん違う? と一瞬騙されそうになりましたよ(笑)。
実は近藤達が江戸に帰ると聞いた途端、いつもの捨の不安そうな顔になり、
「そうなの?」
更に一緒に帰らないかと、誘って貰って
「帰る!!」
と泣き出しそうな顔。 。。。いつもの捨。  けど何だかやっと近藤と一緒に行動を許されて、良かったねえ、と 捨の長い波乱万丈の京生活にも、お疲れ様と言いたいです。

で、この場面。 今回かなりぐっと来ちゃったのが、 江戸に戻る決定を聞いた後の土方。
それも仕方ない、と諦め受け入れる永倉や左之助、 久しぶりの江戸にちょっとウキウキしてる総司の横で、
「ちょっと待ってくれ」
と言ったきり、 ひとり仏頂面で言葉を失ったまま固まる土方。
黙った土方に気付いてか気付かないでか、 江戸帰還への話が進んで一段落したところで
「俺は帰らないぜ。。。 悪いが、俺はここに残る」
そう言い放ち、立ち上がる土方。 ひとり残ってどうするんだ、既に駄々こねてるだけですが、 その子供っぽさが余計に最初の頃の土方を思い出して切なくなるです。
「俺は京で一旗上げるって誓ったんだ。」
「俺達は充分頑張った」
「駄目だ。 俺は必ずかっちゃんを大名にするって約束したんだ。」
「一体誰にだ」
「自分自身にだ! 。。負け戦になるなんてまっぴらだ。」
「俺達はまだ負けていない。 江戸で薩長を迎え撃つ。  向こうには幾十万の軍勢と日本一の海軍が控えてる。  勝機は我等にある。  逃げ帰るのではない。 勝つ為に帰るのだ。」
きっぱりと言い放つ近藤だけど、その言葉はもうかつての ”かっちゃん” じゃない気がするけど、 それでも、その言葉を黙って聞いて、じいっと縋るように見つめる 今にも涙がこぼれそうなトシの目がねえ、たまんなかったなあ。
最後の最後まで、あがく土方が、凄く良いよ。 
この土方だから、新選組がなくなった後もずっと、戦い続けたんだろうなあ、、 と思えて、そうなると、、尚のこと、、
続編でのヤマコー土方も見てみたくなるって もんですが、NHKさん。。。。
(草なぎクンが近藤亡き後、土方と共に戦って行くであろう榎本役でチラ出した事も、 その後の土方を描く為の伏線ではっ?!  などと、こそりと 期待してみるわけですけども)

■ 慶応4年(1868) 1月9日 大阪 ■

堂々と『誠』の旗をかかげて、揃いの浅葱色の羽織を着て、大阪の町を行進しつつ 去る新選組、、 って旗持ちの後ろにいるのは、羽織をまとった捨じゃありませんか。  一緒に帰るだけじゃなく、新選組についに入れてもらえたのね、捨。  やっと羽織をいただけたのね、捨。 よかったねえ、捨。 
鳥羽伏見でボロボロになっていた羽織、その思い切りよい汚れっぷりに、 もしかしたらこの羽織を見れるのはもうないのかも、、とか思っていたから ちょいと嬉しいな。

こんな堂々たる行進を見送る人々は、決して暖かい眼差しではなく、 しらけた空気が漂ってます。。
石まで投げつけられて、辛くて悔しいけど、それでも堂々と胸張っていかねばですよ。
八木さんが言ってたように、自分等は何も悪い事はしてない。。  はずなんだからさ。
その野次馬の中に、 その八木家の娘さん、、、じゃない、息子さん、秀次郎の姿。
もう会わない、と約束したから、最初に沖田に出会った時の男装、 ひでちゃんじゃなくて、秀次郎の姿で現れた、ひでちゃん。
白い目で見物している人々の間から大きな声で
「新選組! 長い間、おおきにな!!」
って嬉しいじゃないすか。 泣けるなあ。 目の前を通り過ぎる恋心抱いていた沖田を励ますひでちゃん。
「沖田さん、しっかりしないとあかんえ!」
沖田は小さく頷いて、あの人だれ?と聞くお考に
「古い友人だよ、、」
と呟き見送り続けるひでの姿を振り返り、最後までずっと見つめてる沖田、 切ない別れでございます。。。
乙女の気持ちとしては、最後くらい綺麗な姿を見せたいって思うだろうになあ。 ひでちゃん、健気だよなあ。。

というわけで京に別れをつげて江戸へ帰る新選組。  斎藤は何年ぶりなんだろう。 
行きは一人だったけど、帰りはこんな状態でも”仲間”と一緒に帰る事が出来るのって、 ちょっと幸せかもしれないね。

が、帰る途中でまた悲しい別れが、も一つ。。山崎。
「私は、、江戸が初めてです。 近藤さんらにとっては、ふるさとかもしれんが、 西の者にとっては見知らぬ土地、、、いささか、心細いです。。。」
結局はたどり着けない江戸に不安がる山崎が不憫でならないっすよ。
しかし瀕死の状態ではあった事を、傍にいた尾形等が気付かなかったのも辛い。  そんな山崎に毛布を放ってくれとか頼んじゃってますからなあ、尾形ってば。  病人じゃん!!けが人じゃん!!とか思うけど、 そんな病人面しないのも、山崎の皆を心配させない為の最後の変装、、だったのかもしれないなあ。 
いつもなら、「喜んで」毛布放りなげてくれる山崎、
「申し訳ありませんが、自分でとってくれませんか。」
「山崎が頼み断んの、初めて聞いたな。」
「動くと、、つらいので。。」
小さく呟いて、すぅっとそのまま息を引き取ってしまった山崎。
それが山崎の最後の言葉ってのが、あっけなくて悲しいよ。
最後の最後、人の頼みを断って、自分の事を話して、静かにこの世を去る山崎。
数々の隊士達が、最後に大きな花火を打ち上げるように、それなりに派手に死んで行く中、 この最期はとても寂しいネ、、、けど、山崎らしいといえば、、らしい、、かなぁ。。 
最期の死に顔が安らかなのが、救いでしたさ。  新しい江戸に不安を感じていた山崎に、江戸はいいぞ、 新選組もまだ終りじゃない、そんな島田の言葉を聞いて、安心して眠るように。
山崎くらい使える監察方は他にいないよ。  とても静かな、とても大きな損失。  寂しいなあ。。。
。。。スーパー七変化、新選組観察方、山崎に、合掌。。

江戸に帰ってきてからも、色々切ない。
もう周斎先生はなくなってたですよ。。 
逝ったようで、逝ってない! そんな周斎先生の死に際の何気ない天然ボケぷりに ちょっとだけ和みつつも、近藤のその後を知らずに、 「勇は誠の武士だ、、」 と誇りに思いつつ亡くなる周斎先生にホロリ、
こんな戻り方でも、
「これからは一緒に暮らせるのですね、ようやく。。」
と、近藤の胸で幸せそうにしているツネさんに、その後を思ってホロリ、
「おつとめ、ご苦労様でございました、」
と、結果はとやかく言わず労をねぎらう、ふでさんに、ホロリでございました。

ところで久々の勝海舟、 相変わらずの素っ頓狂なキャラぷりを発揮してて、いや痛快でした。 
もう慶喜様に向かってですな、一見謙虚な、皮肉100%の説教かましまくりですよ。 
いやもう、普通に怒ってもらったり、説教してもらった方がナンボかマシですよ。
ま、でも、あの食えないカマキリ慶喜様に対抗するにはこれくらい強烈奇天烈なキャラでなければ。
うにゃうにゃボヤキの勝海舟、スキだなあ〜〜。

ところで。 先週の 『源さんCG、アリナシ問題』 に続いて今回、 また物議を醸しそうな一件が。
周斎先生の話が出ると土方、 腕を組んでゆるゆると一歩下がってくるりと振り向き、 口尖がらせて、突然周斎先生のモノマネですよ。 
めざしの頭が、、、とか言っちゃってますよ。
つか、何を言ってるのかわからないところがもうメチャ邦衛ですよ!
つか激似ですよ!
っていうか、これ、もはや土方っつーか、ヤマコーですよ!?
これ、スタパで見た時は、休憩時間のおふざけとばかり思ってましたよ、ええ。 まさか本編だとは。。。これ、普通ならNG集に入りそうなモノじゃ。。。 そうか、、、本編でしたか。(笑)
草ナギ君登場と言い、ちょいとこの船上のシーンは 芸能人かくし芸大会かよ!! 。。。。や、私は好きですけど!

つーわけで。 
もはや自分が人を斬る事の悩みなど、どこかに吹き飛んだような斎藤。
自分がどうなろうと、新選組のために斬リ続けると、 源さんの死から吹っ切れたのかなぁ。
人数が減ったという事もありますが、最後の最後に斎藤がかなり重要なポイント担ってきてる感じです。
来週の斎藤、、かなり期待高まります。。

                                    二〇〇四年 十一月二十一日放送 

                              


◇ ちょっとオマケです。 ◇



さて、今回の撮影、スタパで見た場面もあったんだけど、 当時レポするヒマがなくてそのままだったのを思い出したので、 メモを片手に思い出しつつオマケレポ。
拝見出来たのは、屯所で火を焚き、書類を燃やす場面でございました。  撮影の合間のオダギリの行動が、何だか色々面白かったこの日。
まず、書類の束を持ったオダギリ斎藤、いや、持つっつーか、 その書類を綴じている紐に指を引っ掛け、 ブランブランさせておりました。。。  その下には、ええ、一応焚き火の火がメラメラ。  全て燃やしてもいい書類だと言うのは、その時は分からなかったので、 いつその書類を火に落としゃしないかと、ヒヤヒヤしてしまいました。 余計な心配をしましたさ。。。
で、書類を燃やす場面、ほいほい紙をちぎっては投げ、 ちぎっては投げしていたところで、突然火の付いた紙が炎の上昇気流に乗ってか、 ふわりと舞い上がったんですな。  それに気付いた山耕が、慌ててオダギリの腕をぐい、と引っ張り寄せてました。  オダギリはっつーと、ちょっとボーっとしてたような、、瞬時に反応できず、 引き寄せられるままに、おっとっと、てな具合。  スタッフが飛び出し、とりあえず消火。 衣装に燃え移ったりしたら大変だもんなあ。 スタパ撮影で、何度か小さい火を使った撮影は見たけど、 思わぬアクシデントも他にも色々ありそうだよねえ。
その後、撮影の合間に山崎@桂さんと山耕がお話している間も、オダギリは ひとりでずっと遠くを眺めておりました。 何を眺めているのかっていうと、 甲斐甲斐しく働くスタッフを見てたようです。 ただぼーっと。。。
かと思うと、手すりに寄りかかって、片足だけ足を組むように持ち上げ、 手で足首をつかんだまま、、まるでヨガのような、それ寧ろ疲れるじゃん!てな ポーズをしたまま、腰に差した刀をスカスカ上下に出したり入れたりしてみたり。。
。。そのポーズと行動にどんな意味があるんだろう、てな謎振りまいてましたさ。
西村様とのシーンの合間には、立って腕組んだまま、ポヨンポヨン上下に揺れてみたり。 貧乏揺すりももちろん、欠かさず。ええ。
1対1で誰かがいる時はともかく、ほかの人がいる時は、 会話はその人たちにお任せしつつ、この日はひたすら遠くをぼおーっと 眺めている、ロンリー斎藤さんでございました。
役にどっぷり入ってる、、、にしては、斎藤、そんなヘンチクリンなポーズを するのかよ、とか思いつつ。。。(笑)

て事で、思い出し蔵出しレポでございました。オソマツ。


■ 其の三十五 第四十七話 『俺がいる限り、新選組は終らない!』 ■

こうやってオープニングをテレビのまん前の特等席で正座してみるのも あと残りわずかなんだなあ、、、
と思いつつ、第47話、 ついに洋装土方登場でありますが、
その華々しさとは逆に新選組を取り巻く状況は色あせて参ります。
んがっ。回りがどうなろうと、 『誠』 の精神だけは色あせない! と 思いたい。。
今回は斎藤さん見せ場まで長いっす。 (何せ見せ場はラスト5分。。。)

◇一般人の平和な日本。
近藤がいくら薩長の世の中になる事を懸念しても、 そんな戦争から離れた所にいるおみつさんにはピンとこないのですな。  トップが誰であろうが、毎日仕事しておまんま食えて皆楽しくそれなりに暮らせれば。  そもそも上の人になんて一般人はどうせ謁見もできないしねえ。  薩長の世の中になっては何故いけないの? そんな素朴なおみつさんの疑問に 納得いく答えができてなかった気がするよ、近藤さん。  戦争はいやだなあ、、とまんじゅうほお張り呟く林太郎さん。  こうやっておいしいお饅頭をのんびりほお張れる日常があるだけで、 幸せなのにネ。

◇今週も食えない勝海舟。
もうこの人がねえ、褒め称えるような言葉を口にすると、 素直に喜べないっていうか、怖いっていうか、気味悪いっていうか。  また野田さんの目が無邪気な子供みたいでねえ。 ホントいいわ、この勝海舟。 
最初から真剣な顔して言われるより効果絶大な相手を煙に巻く勝トーク術。 
あんな調子でホイホイ勢いヨイショされて、 これは怪しいぞ、なんて警戒してても何時の間にやら勝ペース
そのうちいきなりドボンと突き落とされて唖然、気がつくとまんまと乗せられてたりしてさ。
ものごっつ少年漫画のごとき炎点った熱い瞳で、江戸に陣を張り薩長を迎え討ちます! などと 訴えようが、
へーほーそりゃすごいやーたのもしいねー、、と感心したフリして右から左に流しつつ、 最終的には甲府で捨て駒になれと問答無用で命令だもんなあ。  同じく食えない男慶喜をも言葉でねじ伏せた勝海舟に、 近藤が勝てるわけないわなあ。

◇ネーミングは大事。
新選組の名前を取り上げられ、新しく 『こうようちんぶたい』 、と頭の中でひらがなが踊りそうな そんな長ったらしく覚えにくく、さえない名前を頂戴してしまいましたよ。  『新選組』、てのは本当に旨い事つけた名前だなあ、とシミジミ思うですよ。
今も新選組が人気があるのは、近藤土方沖田というスター的キャラクターの存在はもちろんだけど、 名前も力強くて記憶に残りやすくカッコイイせいもありましょうな。。  それにダンダラ+誠のテーマという分かり易いシンボル。  単純だけど真直ぐな力強さに勝るものなしでありますよ。  ぱっと見てその漢字と全体の文字から受けるイメージが強いんだよね、この名前。
 
それに対して、効用チンブタイ。 って何だこの変換(笑)
改めて。 『甲陽鎮撫隊』 ってのは、名前からくるイメージもくそも、何せ説明的過ぎますなぁ。。。
響きもよろしくない。 チンブって辺りが。。。なんかイヤ(笑)
だが諦めるのはまだ早い。 こんな陳腐な名前でも、長ったらしい名前でも、 その余計なまとわりつく意味を消す方法として、短く省略した愛称を作るという手がございますぞ。  短い略称、呼び名が浸透するとヒットするなんて業界のジンクスもございます。
『コウチン』  。。。何だか名古屋の鶏肉みたいだ。。
『ヨウチン』  。。。何だか傷薬みたいだ。。。
やっぱ 『新選組』 だよなあっ!!!
うわーん、勝めっ! 可愛い顔して(私にはとても可愛く見える野田さんの勝海舟)ひどいよなあ。
近藤に手柄を立てる場所どころか、新選組という名前まで奪っちゃうなんてさ。。

◇計算してみよう! 5000÷200。
ま、甲府城やるよ!なんて景気のいい事言われた所で、こんな割の悪い賭けもありませんさ。
およそ5000の軍勢を迎え撃つ近藤の軍は200だとさっ。。。
5000対200。。。
って聞くと、もう「死んで来い!」って言われてるようなもんですが、いや千って単位にびびっちゃいけない。
一人頭計算してみたら、、、、25人ですよ!25人!!
たった25人倒せばいいんですよ。
ブチキレ状態の斎藤200人いれば、問題なしですよ。
200匹わんちゃんか。。。うう、くだらない「たられば」しか浮かばない自分が虚しいッス。

。。。そんな無茶な戦いの意味がわかっている近藤と、土方。
それでも挑んでいこうとする二人、その胸中を思うと泣けて参ります。

◇ニュー編成図
「本当にこういうの好きだなあ」
といわれつつ、新しくなれば新しく編成図をまず作る土方。  形から入る土方ですから。
そういえば、新選組展を見たときも、時代とともに変わっていく数々残る編成図、その中に変わらぬ名前や 消える名前を見て思いを馳せたものでありますよ。
さてこの会議では、ちゃんと斎藤の姿も土方の横にチョコンと認められます。 ヨシヨシ。
会議の度に減って行く人数に寂しさ感じつつも、今回は斎藤もいるし、更にもう一人増えてちょいと嬉しい。 
それが捨助だとしても!(笑) しかもひとりだけ、あの浅葱色の羽織しっかり羽織って。  他のメンバーは着てないのに、よほど嬉しいんだろうなあ、捨。 
その後土方に仕事を命じられたときも、最初はイジメッコ(笑)土方を前に おどおど疑いの目を向けつつも、
「その羽織を着ている奴に嘘はいわねえ。 新選組隊士としての、初仕事だ。」
といわれて、思いっきり、りんちゃん(@クサナギくんドラマ)顔負けのよいお返事
「はい!!!!!」
いい笑顔だ!! 本当は最初からかっちゃんと一緒に組に入りたかった捨だもんね。

新選組って名前を奪われても、隊士の心の中では今でも新選組。
「たとえ名前が変わったとしても、我等は新選組!  誠の旗の下、あくまで薩長と戦う。 心してかかってもらいたい!」
力強い声で気合入れる近藤局長。  甲陽鎮撫隊だと近藤隊長、だけどやっぱり局長がしっくりくるよ。
その気合の言葉に、ヨッシャー!と答える一同。
きっと斎藤はいつも通り声はあげてなくても、彼の心にはこの言葉が 誰よりも染みていたかもしれない、と後の展開を思いつつ。

◇容保様って純粋だなあ。
江戸会津藩邸。  すっかり気落ちしている容保様に、
「甲府で必ずや薩長の賊軍を蹴散らして参りましょう」
と啖呵を切り、
「頼もしいぞ、近藤。 いずれお前も会津へ来い。」
と勇気付けることが出来る存在になれたことが、近藤は嬉しいんだろうな。  かつて、一言 「はげめ」 その三文字の言葉をいただけるだけでも大事件だったのに、 今は友情すら芽生えているような二人の関係だものなぁ。
しかしそんな関係、殿への気持ちが、後々永倉と対峙してしまう原因の一つでもあるんだなぁ。

そんな殿。 忘れた頃に嬉しそうに取り出した、いつぞやの壬生大相撲でのグッズ、黒神関の手形&サイン。
この時代の横綱ってエライ人にも憧れのアイドル、ハリウッドスターみたいなものだったんだねえ。
だがそれは海賊商品ですよ。。。容保様。。。
真実を聞き、やりおったな、なんて笑ってるけど、 その微笑みは若干引きつっておられますような、、、容保様。。
この後近藤等が帰った後、ちぇっって投げ捨てたりして。 で、弟に「すごいものをお前にあげよう」と騙してあげたり。。しないか。

◇デジャブその1
つねさん、お母様、愛娘のたまちゃんと別れを告げ、出発する近藤達の前に立ちはだかる総司。
「同じ光景を前にも見た気がする」
そうそう。 江戸から京へ出発する場面。  確かに同じだけど悲しいのは近藤達の周りにいる人数の少なさ。 
あの頃にいた、山南さん、源さんはもういないんだものなあ。  総司も今は病を抱えた身だし、意気揚揚と一旗上げようと希望に満ちた出発とは まるで違う今回の旅立ちではありますが。
。。とかね、シンミリしつつもね、この近藤さん中心にした4人。
どこのコスプレ軍団ですか?!
ってな程、てんでバラバラ好き勝手な格好してて、なんつーかこの統一感の無い団体は一体。
特攻服みたいなファイヤーパターンの背中の刺繍も鮮やかな近藤、
個性的な甲冑に身を包んだ左之助、
がっちり洋装ざんぎり頭の土方、
ひとり堅くきちんと着物の永倉。。。
それぞれ一人づつみればカッコいいんだけどねえ、こう固まると 余りにキャラクタ立ちすぎでございますよ、キミ達。
こんなバラバラ感が、後の分裂とも無関係とも言えないような気も若干しつつ。 
なんだかんだ言って、揃いの制服ってのは外から気持ちを統一する力が強いからネ。。

と、再びシミジミしつつも、あまりのキャラ立ち具合に突然脳内で展開される  『新選組!』 的RPG。 
今流行りの等身のある美麗3DCGではなく、ここは2等身キャラクタのニンテンドー的ドット絵でひとつ。 
ゲーム攻略の鍵は、狂言回し役の 『すてすけ』 と、スパイ 『さいとう』 の使いどころ。
  「 おきた が なかまになった! 」
  「 だが おきた は やまい に おかされている! 」
もはやHP残り僅か、かつ、病パラメーター点灯中、 歩けば歩くほどHPが減って行く「おきた」。
時々 「ちょうせんにんじん」 でHP回復を忘れずに。。。
間違えて 「なぞのもあいぞう」 を与えるとHPが減りますからご注意。    って、そんなことはどうでもよく。

■慶応4年(1868) 3月2日 多摩 ■

◇デジャブその2
懐かしい多摩へ凱旋帰国。 京での新選組の活躍に多摩の一同から向けられる憧れの眼差し。
近藤土方二人、派手な衣装のまま一段高い場所に座らされて、 まるで雛飾り人形みたいにちょいと可愛いい多摩のヒーロー。
そんな歓迎宴会の席で鹿之助さんの姿に感じるデジャブ。。
一生懸命代表としての一言なんかを 口の中で反芻したり、メモをチェックしたりしてるのに、、、今回もまた、勝手気ままに 話し出すマイペースな多摩の人たちに何度となく遮られ。。。  どこかで見た光景でございます。  
そう、あれは婚礼の日と同じ。。。 そして今回も又、リベンジならず。 お気の毒。。。
そんな多摩の人たちの気取らない自由奔放な感じ、いいよねえ。  よそ者を拒む京に長くいて、紆余曲折時代の流れに翻弄されつつ 疲れて帰ってきた身には、そんな暖かい歓迎の空気、掏れていない 変わらぬ素朴さが染みたろうなあ、嬉しかったろうね。  そりゃ思わず顔も緩むよ。。。気も緩むよ。
それに心のどこかで、こんな風に故郷に錦を飾れる日はもうないと思っていたんだろうし、 思わず羽を伸ばしちゃったのも責められないよナァ。。。
が、そんなノンビリしている近藤に、ひとりやきもきしているのが永倉。  宴会中も一度もニコリともせず、終始仏頂面。 
一刻も早く出た方がいいなら、そう告げたらいいのに、それを言えずに悶々としてるのが、 近藤がどうとかでなくお互いの間に既に微妙に溝というか、距離みたいなものが出来ていたような気がいたします。
ところで。、、、この宴会の場に、いない、よね? 斉藤さん。
菜っ葉隊まで同席してるのに? 鍬次郎だっているのに? お酒あるのに?
それともマイテレビでは見れない秘密の画面の端に存在してますか? (だとしたらイヤン)
。。。が、思い出してみると、この多摩の皆さんが勢ぞろいした”あの日”、
ご婚礼をメチャクチャにしたっけなあ、どこかの野良犬が。 
そりゃあ、長い年月は経った過去とは言え、居心地悪かろう。。 どの面下げてって感じだし、何か言われても面倒だし。。  そんなワケ?で、多分ひとりどこぞでコッソリヒッソリ杯を傾けているのでありましょう、斎藤さん。

◇ニワトリ時間。(かなりどうでもイイ事)
そんなこんなで永倉のやきもきも他所に、時間は過ぎて行く。。。
その時間の経過を表すのが全部ニワトリの映像でコッコッコッ。。。って辺りが のんびりした多摩らしいねえ。(笑)

◇オンナはコワイ。
久々登場のお琴さん。。 随分キツイ、痛いところブサブサ遠慮なくついてまいりましたな。 
思わずダメージ受けまくりの土方。  戦争は男のもので、どんな理由があろうと正当化しちゃうもんですが、 おみつさんしかり、女の目線は案外冷静でシビア。
「悪い顔になったわね」
なんて言うお琴さん、歯に衣着せぬ言葉で攻撃する貴女も相当怖いなあ、と思ったですよ。。
このお琴の目線は新選組に関わらない外からの客観的な目線かな。  「新選組!」 は近藤を中心に近藤の目線から、 彼らの行動は彼らなりの正当な理由と信念があっての行動であったと、 比較的新選組を肯定的に好意的に描いてあるわけなんだけど、 そうは思わない人も多々いるわけで。  そんなのも分かった上での、この新選組ですよ、と三谷的アンチ新選組へのフォローといいますか。
とはいえ、今まで何と言われても決して自分の信念を曲げず、 相手の意見をむりやりでも目の前で粉砕して突き進んでいたような土方が、 過去の女の一言でめっちゃ凹んじゃってるのが気の毒ながらもまだ若い男らしくて良かったナァ。
故郷で熱烈歓迎されて、すっかり 「鬼副長」 の仮面が緩んだ隙間に、 ずばっと差し込まれた言葉はまさに痛恨の一撃!  おかげですっかり意気消沈して
「かっちゃん、俺達にとって、京の5年って一体なんだったんだ。。」
と肩を落として弱音ぽろぽろの土方。 
世の中を引っ掻き回しただけじゃないのか、、と自虐的に土方は言うけどさ、 多摩の1百姓だった二人が、大きな世の中引っ掻き回せたってだけでも 凄いじゃん?! とか思って満足しちゃうのは志低いかしらん。。
めずらしく凹む土方を励ましつつ、自分に言い聞かせるように呟く近藤。
「俺達は信じられないほど遠くに来てしまった。  もう後は先に進むしかない。。。 
。。振り返るのはもう少し先にとっておこう。。。」

何だか帰るふるさとも無くなったような、寂しい言葉でありますが。。。
もう少し先。 史実的にはまだ二ヶ月弱あるけども、 テレビにはあとたった2回。 2週間後なんだなあ。。

◇最後の3ショ
ここで沖田も加わり、沖田土方近藤、と3人並んでの姿はこれが見納めなんだろうなあ。
夜は咳き込んで眠れない癖に、いきなり土方に稽古をつけると言い出した沖田、 ああもう絶対咳き込むよっ、、ほら言わんこっちゃない、と全国で突っ込まれていたことでしょう。  が、あれほど付いてくるなと言われても付いてきた沖田が、 ここで咳き込んだ後にあっさりと素直に帰るんだよねえ。
「薩長のやつらは皆さんにおまかせします。」
という言葉、「やつら”は”」って言い方が、何だか最後まで強がりで泣かせるなあ。
今まで具合がどんなに悪くても、意地で付いて来ていた沖田が、 ついに自分から素直に帰る、余程もう体がいう事聞かないんだろう。  それでも、そっちはまかせる、そんなニュアンスを残した言い方が、 沖田らしいというか、、ちょっと悲しくもあり。


◇と、のんびりしていた時間もこれまで、いよいよ戦でありますよ。

■慶応四年(1868) 3月6日 甲州勝沼 ■

。。。って、いきなり苦戦しております。
永倉が懸念していた通り、のんびりしている間に城は薩長の手に落ちてしまってましたよ。
ああ、うさぎと亀。。。いや、最初から亀だった癖にノンビリしてしまい、 当然早いウサギは余裕で到着、そんな当たり前な展開だったのかもしれません。  亀なら亀なりに、誰よりも努力して急いで来なければならなかったのでございましょう。  そうやって新選組は今までのし上がってきた筈だったのに。
懸念していた事が現実となり、カリカリしている永倉は早くも土方と衝突気味。 
その様子を見ていた近藤も、捨に 「菜っ葉隊はまだか!」 とあたる事しか出来ないし、 借りてきた大砲の使い方はわかんないし、なんかもう、ダメダメな空気。。。
京都でぶいぶい言わせていたはずの新選組とは思えないこのガタガタ感。
久々に戦にリアル参戦したせいか、隊の統制の取り方がイマイチ不安定で頼りない局長。
「このままだと戦にならん!」
呆れてキレて出て行く永倉、それについていく左之助。
で、腰半分あげつつ、  ”えっ。。。まてまて、どこ行くんだ?” そんな感じでちょっと戸惑いつつ 見ている斉藤さん。
幹部が集まっていたその場所に、もはや斉藤と近藤が残るのみ、、、 て所でその近藤さんも立ち上がって行ってしまい。。。
ひとり取り残されその場にポツン、の斎藤。。。 誰かに何かを指図するカラーでもなし、近藤さんからの命令もないし。。
今までどちらかと言うと、斎藤の方が勝手に出て行ったり、 あるいは軍議なんぞに出席もしなかった斎藤が、ひとりだけその場に居残り状態ってのも、 なんだか妙な感じですなあ。

ハッパだかナッパだか、名前の頼りなさなんかどうでもよく、この際もう何でも頼りにしたい状況。
って事で、土方と捨に菜っ葉隊援軍を呼びにいかせる近藤。
それなりに戦慣れしていたであろう土方がいなくなって、 近藤自らが陣頭に立つものの、激しい銃弾の嵐を前に、一歩も進めず。  身を隠した大木の影で唇噛み締め、前方を睨みつけても状況は変わるわけもなく。
「これは確かにもはや、刀の時代は終ったのかもしれないな。。。」
いやもう、とっくに。。。!
かもしれない、、、じゃなくて、とっくのとうに!!!
って、今さらなセリフがやっと近藤の口から出る辺りが、戦の現場知らずだった近藤らしいというか。
しかもこんな、ナイフ一つで鯨に挑むような現状を目の当たりにしてても、  「かもしれない」 なんてぼかしてしまう辺り、 現実を認めたくない気持ちが滲み出ていて何だか切ないっすねえ。。。
刀を腰に刺した武士に憧れ、誠の武士になる為に生きてきた近藤だもん、 認めたくないのはわかるけど、「かもしれない」じゃなく、確実に、、終ってますから。。。  源さんが撃たれて死んだ時、手も足も出せずにその死を見届けた鳥羽伏見の現場を経験したものには、 とうのとうに、それは身にしみて感じた事実ですから。。。
あれだね、会社で言ったら、会長やら社長がたまに現場に下りて来て、 知ったように今更な一言を言ってくれる事よくあるじゃないですか。  現場の社員からしたら、 「ああもうそれは現場でイヤっちゅー程身にしみてる事なんだけどなあ。」  とか思っちゃうこと、あるじゃないすか。。
。。。。悲しいけどそんな感じですよ、近藤さん。。。
以前は戦争の場に必ずいた局長も、今は上様と謁見したり意見したり 容保様と友情深めてみたり、それが組のトップのお仕事ではあるけども、 久しぶりに現場に身を置くのが久しぶりの近藤さん。 
そんな現場と社長室との距離が、、、内部亀裂を生んでしまうんだねえ。。

この二進も三進もいかない状況に、もはや甲府はこれまで、と 会津へ行く事を提案する永倉に対して、 援軍@菜っ葉隊 を待ちあくまでここで戦うと言う近藤。
近藤としては、今だ新選組を頼もしく思う容保様の気持ちをがっかりさせる事は 絶対したくないし、出来ないわけで。
「いずれ会津には行く。 しかしその時は一軍を率いて堂々と加勢にいくつもりだ。」
「今はそんな見栄を張っている場合ではない」
「見栄ではない。 殿と約束したのだ!」
。。。うーん、それが見栄というものでは。。。気持ちはわかるけど。
そんな互いに譲らない言い合いを微妙な面持ちで聞いている一同。  普段ノンキに構えている左之助の曇った表情が、事態の深刻さを感じさせて、胸が苦しいですなあ。。
二人の口論を微妙なしょっぱい顔しつつ交互に見ている隊士達の中、 斎藤はじっと口を一文字にして俯き、一点を見つめたまま。
「我等は行き場を失った。 だから会津に助けを請う。 それだけのことではないか。」
「会津公のためにも、ここは死守するべきである! 最後の一兵となっても。」
もうねえ、考え方の根本が違うから、この二人の意見は永遠に平行線ですよ。。。
近藤が勝海舟にココを押し付けられた本当の意味を知らない永倉には、 まだまだ自分達は幕府の為に尽くせる手は尽くして戦うべきだと思っているけども、 近藤は幕府には捨てられた事を悟ってるからなあ。
それに加えて、 直に会津の容保の言葉を耳にして、あの純粋な朴訥な容保様の眼でね、 頼もしいぞ、だとか頼むぞ!だとか言われ続けてさ、 最後まで会津には 「いざとなったら新選組!」 「新選組がいれば百万力!」  そんな立場でいたいのでありましょうなあ。。。  ヒーローを信じる子供の夢を壊したくない、、みたいな?

何時の間にか刀の時代が終って、勝海舟には捨て駒扱いにされ、 勝てるわけも無い戦争に挑み、それでも会津の容保公の期待は裏切りたくない。。  その上、久々の現場を旨く操作できてない自分に焦りがつのり、、つい、、、出ちゃったんだろうな、 言っちゃいけない言葉が。
「これは命令だ!!!」
。。。言っちゃったよ。 命令って言っちゃったよ。
命令。 法度を掲げていた頃は命令だとしてもワンクッション「法度により」なんて置けたのに、 直に命令って口に出しちゃったですよ、近藤さん。。。
「我等は、あなたの家来ではない!」
その言葉にショックと憤りを隠せない眼で反論する永倉に、さらに駄目押しするかのように
「勝手に隊を離れれば、切腹だ−っ」
ってそれ土方の専売特許のセリフだよ近藤さん!!
や、そんな土方だって、もう言わないよ、近藤さん。
つか、切腹とかやめようって言って法度下げさせたのは近藤さん、貴方自身でございましたのに。
焦りがそうさせたとは言え。  取り返しのつかないダブル失言。
やっぱナシ!今の言い過ぎた!ごめんよぉ、永倉君。  なんて取り消せればいいけども、武士に二言はないわけで。
「まだそんな事をいっているのか。 いいかげんに目をさませ。」
以下、もう今まで溜まりに溜まっていた鬱憤を晴らすかのように、次から次へと永倉の口から出てくる 近藤への不満批判。
それを聞いている斎藤、黙っているけども心の中で燻りつづけている何かを 懸命に押さえつけているようにも見えますよ。 そんな目をしてますよ。。
あの頃と違うところにいるのだ、という近藤に、 いいや、違わない、と言う永倉。
「変わったのは、あんたの心だ。 ここまでのようだな。 私は山南さんに新選組を託された。  しかし、その新選組はもはやない。 私はこれで失礼する。」
こういうときに山南の名前出すのは、ちょっとズルイっ。。。
  ワケ隔てなく接する近藤だから付いてきた、その永倉の言葉はわかるけども 最後まで山南さんの言葉の方が永倉に影響しつづけていたというのも、 近藤の器が山南を越えられなかったのか、最初からその程度の関係だったのか。。。
だとすると、永倉の近藤へ感じていた ”変わる前の近藤” のイメージも 永倉が勝手に作り上げたものだったのかもしれない気がするけどなぁ。。

こんなまさかの突然の分裂に戸惑いつつも、思い起こせば、、 建白書にしても山南さんの件にしても、永倉はいつも何かと近藤土方と対立してはいたんだよネ。  そんな時に諌めていた源さんはもういないし、憎しみや怒りを受け止めていた土方も この場にいないし。。。
細やかに人の気持ちを操る事は不器用な近藤さんなんだなあ。  その不器用さを愛しく思うか、腹立たしく思うか、 それはもう、相手の問題というより、案外自分の心変わりの問題でもあるような。

「ここにはもう、おれたちの居場所はない!」
キッパリと言い放ち、ついに袂を分かつ事になった永倉。
何も今こんな時に見解してバラバラにならなくても、、、いや、 こんな時だからこそなんだよねえ。
そして左之助も。。
「おれ、アンタにあえてよかったと思ってる。  一杯色んなことあったけど、、全部ひっくるめて、、俺アンタに感謝してる」
左之助の別れの言葉を無言で聞いている近藤、 悲しみを懸命にこらえているような口角下がったへの字の口元が、見てて辛い。
永倉に続いて、雨の中を走り去っていく左之助。。。

すっかりションボリしちゃった近藤、小さいかすれた声でやっと、
「。。去りたいものは去ってもいいぞ。。。」
と呟くその後姿が余りに哀愁。
追い討ち掛けるように、一人立ちあがり二人立ち上がり、 お言葉に甘えて去っていく隊士が数名。 
ばかー。 お言葉に甘えるなー!!
「寂しいものだな。。。 これで浪士組み結成の頃からの同士は、俺とトシと総司だけになった。。」
そのトシも、総司も、今ここにいないのがまた、、寂しさ倍増。
ションボリ意気消沈する近藤だけど、まてまて。
寂しがるのもわかるが、まてまて。
貴方の周りには、まだいるじゃないかっ。 寂しがる前に回りをみてくれよう。
で、もうとにかく今回の斎藤の見所、新選組の見所ですよ!!


カスカスな声で呟いた近藤の言葉を聞いて、なんてどう声をかけていいのか 分からないんだろうなあ、シンと静まり返って雨音だけがするこの重い空気を破って呟いたのが、 あの、無口な斎藤ですよ。
「永倉さんは間違えている。」
さっきからずっと、一点を見据えたままじっと何かを思っていた斎藤、その 一言ぽつりと洩れた言葉が、
どうやらぷちっと斎藤の中の熱血スイッチを押したらしい。
「新選組は終っちゃいない!」
そう力強く言うとやおら立ち上がり、 見つめる一同の真中をずかずかと進み、 『誠』 の旗を見上げる斎藤。
「この旗がある限り、新選組は終らない!」
そして旗をがっしとつかみ、雨の振る外に飛び出して行く。
新選組、という名前が斎藤の口から出るのも新鮮ながら、 さらにそのでっかい旗を持つ斎藤の姿、
突然の意外な組み合わせ。
体の大きくない斎藤にその旗は相当重そうに見えつつ、それでも ぶんと大きく旗を振り高々と掲げ近藤達に振り向き、
降り続く雨に濡れそぼりながらも、がっしり旗を支えつつ、そして叫ぶ。
「この旗が、俺を拾ってくれた! だから、俺は一生をかけてこの旗を守る!
たとえ一人になっても、、局長ーーーっ!
俺がいる限り、新選組は終らないーーーっ!!!」

ってうわあああああ、、、このセリフを聞いたときの鳥肌といったら。
もう何も言うまい。。。いや、言わせてください、言いますとも!
もうね。 あの寡黙な、静かな、一応クールで通っている斎藤が、、 剣を抜いた時以外に、こんな熱い男っぷりを見せた事がかつてなかったわけで。  近藤に対する忠義の心は、そりゃもう、誰にも負けない斎藤だったけども、 それはあくまで個人対近藤、土方への忠犬っぷりであり、 組だの組織だの、政治だの、そんなところには全く関係なかったはずなのに。
が、そんな斎藤が、 「この旗を守る!」 と熱く叫び、 近藤の前で 『誠』 の旗に忠義を誓ったわけですよ。
今まで大事な軍議にすらめったに顔ださなかったり(笑)、 組の決定が気に入らずに勝手にさっさと部屋を出て行ってしまったり(汗) 気持ちは誰より近藤さんの忠犬ではありつつも、組織的行動には 割と自由奔放放し飼いだった斎藤、そんな斎藤からこの言葉、この行動。。。
今まで「アンタ」とか、「近藤さん」、と呼んでいた斎藤が、 声を枯らして、「局長ーーーーーーっ!!!」ですよう!
この一言がもう、一番がつーんと来ちゃいましたさ。
近藤局長のいる新選組に、忠義を新たにする、斎藤の誓い。
これが斎藤オダギリ好きとして、泣けずにおれましょうか。
熱い!! 熱いよ、斎藤一。
クールな外見や行動に隠されていた、熱い心が剥き出しになった、表情と声にもうクラクラ来たよ。
でもって、「拾ってくれた」って言葉が、健気で素直で可愛いんですなぁ。
ああ、拾いたい。 こんな健気で一途なワンコ拾いたいもんですっ。。。 落ちてないかなあ。。(ナイ)

そんな言葉に謙虚さ漂わせつつ、 精一杯の励ましと、近藤、もとい新選組への愛情をさらけ出した斎藤。
もうこりゃ名場面でございますよ。
ああ、しかしこの行動と言葉を、永倉がいる時にしていたら、 もしかしたら永倉達を止めることが出来たんじゃないかな、なんて事も思いつつ。

で、またその後の表情の変化が素晴らしいんだよなあ。
「斎藤君!」
感極まる声で、近藤局長にその名前を呼ばれた瞬間の斎藤。  炎がメラメラな勢いの熱血眼が一変、「はっ」と我に帰り、揺らぎ、 パチクリ数回瞬き、そしてめっちゃ照れくさそうに泳ぐ目線、 もうその変わる表情の色がね、自然で、気持ちが手にとるようにわかって、愛しいったら。。
熱くて頼もしくて男らしい斎藤から、照れてちょっと情けないようなあどけない顔への 変化。 
いやもう、どうなん、この変わりよう。
自分でとった熱血行動に自分で驚き、戸惑い、照れる。。。 一言で言えないような表情の変化が一瞬の間に展開されてるわけですよ。
思いも寄らない顔を今だ見せてくれるオダギリ、やっぱ凄い。 やっぱ好きだ。  やっぱ目を離せない。。
いやもう、たまりませんです。

その斎藤の見せた熱さが、他の隊士の魂を揺り動かすんですな。
「局長、俺も同じ思いです」  「わたしもです!」 「まだこれからですよ、局長!!」 と島田や尾関が熱く叫び、他の隊士も口々に局長!と叫ぶ。  その声に、照れて伏せていた顔をこそっとあげ、 近藤の顔を、反応を、恐る恐る見るようなそんな表情がまた。
  このすがるような上目遣いが! アイフル再びかと思うような犬眼差し!
うわもう、反則ですよう。
どうしてこんな顔できるかなあ、かわいいなあ、、かわいすぎるなあ、 いいのかこんな可愛くて斎藤。
 
雨にぬれた子犬の上目使い最強、いやもうホンットどうしましょ、 いやどうもしなくていいし!、、などともう、こう、気持ちが動揺しまくるほどの愛しさ。
両手を広げて、ありがとう斎藤君!とか言いつつ、 その頭を抱えてグリグリ撫で回してあげて欲しいヨ近藤さん。

最初に拾って貰って、数年。
京で再会するまでに数年あったけども、その空白の数年の間も斎藤の中ではずうっと 近藤への恩義の気持ちが積み重なってたんだろうな。
隠した様々な過去を持っているような自分を、 誰よりも信用してずっと傍に置いて暮れていた近藤さん。
いつも皆に慕われていた、眩しい近藤さんが、今ひとりで寂しそうにしょんぼりしている。。
これは元気を出してもらわないと!!! 
試衛館時代からの仲間がなんだ。  年月より重い忠義心が自分にはあるんだ、と。
そんな叫びが、 意気消沈して戦う気力も萎えかけていた隊士の気持ちに火を付け、
隊を引っ張る自信も喪失しかけていた近藤を勇気付けた、斎藤。
こんな斎藤の見せ場が用意されていたとは。。。
心から、三谷さんありがとうと言いたい、そんな最強場面でございました。
って何度ありがとう言ってるんだろうなあ(笑) いやでも本当嬉しいんだもんさ。

それにしても。。今回の「再会」てタイトルはちょっと皮肉。
多摩の人たちと再会しつつも、そんな試衛館時代からの仲間が二人、去ってしまったんだもんなぁ。
隊士の死も悲しいけど、友情が壊れた別れはもっと寂しくて悲しいなぁ。



◇最後にやっぱり触れておこう、土方洋装チェンジ。
いやーもう、似合いますなあ。 あの残された土方の写真から飛び出てきたような、 山耕土方@洋装バージョン、ハマリすぎです。
しかしながら、着物の合わせをちょいと崩したところでちらりと漂う色気、なんてのが 見れないのはちょっと個人的に残念だなあとか思いつつ、 上着を脱いだ白シャツにベストの姿なんてのもまた別の色気が感じられて、中々良いです。
いやあ、ホレボレ。
しかし。 
パンツの前ボタンを何故そんな嬉しそうに説明する、土方(笑)。  ていうか、何故目をそらす、近藤(笑)。。  小の時に面倒っていうけど、袴をたくし上げての和装の用足しの方が面倒っぽいけどなあ。
で、下世話なことですが、洋装の際の下着はどうだったんでしょね?  そこもやっぱり洋風だったのかしらん。。。
にしても、こんな洋装バッチリハマッた土方を見ちゃうとね、 やはりですね、函館まで見届けたくなりますよぅ。。
DVD発売決定したら、続編が見たい、、なんて、 欲は尽きないわけですが、それほどまでに、この『新選組!』が好きだって事でひとつ。

                                         二〇〇四年 十一月二十八日放送





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